化学・石油化学
2008年のブラジルの化学業界全体の売上高は前年比10.6%増加の2,223億レアル、ドル換算の売上高は前年比17.9%増加の1,220億ドルで記録を更新、輸出は11.3%増加の118,9億ドルと大幅に増加した。しかし、輸入は46.6%と大幅増加の350,9億ドルに達した。従って化学業界の貿易赤字は前年の132,5億ドルから232億ドルに悪化した。ブラジルの2008年のGDPは第3四半期での大幅な下落にも関わらず、5.1%増加した。
昨年9月中旬から始まった世界金融危機はブラジルの化学業界に悪影響、化学製品の消費はアメリカ、ヨーロッパ、アジア、特に中国で減少に転じた。また、原油やナフサ等の主原材料の国際コモディティ製品の価格下落が化学製品の下落に大きく影響、ブラジルは輸入化学原材料に強く依存しているため、2008年の最終四半期の結果を悪化させた。

化学工業はサービス及び農業を含む多岐に亘る部門で使用され、経済活動の発展のために顕著な役割を果たしており、ブラジル地理統計院(IBGE)の最終データによると、2008年のGDPで化学工業のシェアは3.1%を占め、2006年度の化学部門は3位で製造業のGDPの約10.82%を占めている。

ブラジルの総計GDPでの化学業界のシェアの推移(%)
化学業界がブラジルのGDPに占める重要性は付加価値コンセプトであり、2008年度の化学業界のGDPへの比率は下記のように計算される。
(1220億ドルx0.40)/1兆5733億2000万ドル=GDPの3.1%
工業用化学製品の売上高は1123億レアル(612億ドルに相当)、2008年度での化学業界の純売上高の50%を占めた。医薬品分野の売上高は310億レアル(171億ドル)でシェアは14%を占めた。他の分野は合計の36%を達した。1990年から2008年までの化学業界の分野毎のデータは下記のとおりで表示さる。

ブラジルの化学業界の売上高(1990年~2008年)

単位 10億レアル

(単位 10億ドル)

セクター別の売上げの推移

売上高の推移(1995年~2008年)
(出所)ブラジル化学工業会ーABIQUIM
2005年の化学工業は工業用化学製品販売が15.4%増加で695億ドル売り上げたが、レアルでは前年比マイナス3.9%の1693億レアルであった。工業用化学製品の占める割合は56.3%の391億ドルを記録、医薬品9.2%、化学肥料・調味料5.3%、衛生用品・香水・化粧品5.5%、農薬4.0%、石鹸・洗剤2.5%、塗料・ベンジン1.9%、その他2.0%であった。

1990年から2005年の化学製品の消費量は年平均3.8%増加の74.97%増加を記録したが、輸入化学製品は年平均11.55%増加、この15年間では415.35%を記録したが、この間の国内メーカーの年平均増加率は2.74%で49.4%の増加に留まっている。
2005年の国内の工業用化学製品価格は13.2%下落、化学製品の輸出額は前年比24.6%増加の73億ドル、輸出量では11.9%増加したが、輸入は石油価格の高騰で原材料費が上がり、153億ドルで前年比5.3%増加であったが、輸入量は18.2%増加の1970万トンであった。貿易収支は79億ドルの赤字を計上している。
輸入化学製品が2005年のブラジル輸入総額736億ドルに占める割合は20.8%、輸出総額1183億ドルの6.2%をそれぞれ占めた。輸出先ではメルコスール域内のアルゼンチン、ウルグアイ及びパラグアイ向けが前年比19.3%増加の20億ドルで輸出総額の28%を占めた。特にアルゼンチン向けが前年比15.4%増加の13億ドルで貿易収支は3億3200万ドルの黒字であったが、アルゼンチンからは5億9060万ドルのナフタを輸入している。 また米国、カナダ及びメキシコ向けの輸出は37.3%増加の15億ドルで輸出比率の21%を占めた。
2005年度ブラジルの化学工業の売上げは695億ドルで世界9位にランクされている。
化学工業売上高世界ランキング
| 1位 |
米国 |
5580 |
| 2位 |
日本 |
2700 |
| 3位 |
中国 |
2230 |
| 4位 |
ドイツ |
1900 |
| 5位 |
フランス |
1200 |
| 6位 |
韓国 |
980 |
| 7位 |
英国 |
970 |
| 8位 |
イタリア |
950 |
| 9位 |
ブラジル |
700 |
| 10位 |
インド |
680 |
| 11位 |
スペイン |
540 |
|
(単位10億ドル) |
出所‐ブラジル化学工業会Abuquim 2006年9月
石油化学
現在、ブラジルには3つの石油化学コンビナートがあり、それぞれ、バイーア州(北東部)、リオ・グランデ・ド・スール州(南部)、そして、サン・パウロ州(南東部)に建設されています。これらのコンビナートによるエチレンの生産能力は、合計で年産140万トンに達しています。
エタノール工業
ブラジルの石油消費と原油生産のバランスをとるために、1960年代後半から1970年代前半にかけて、石油ショックなどの影響で石油代替燃料の研究が盛んに行われ、その結果、サトウキビから抽出されたエタノールが選ばれ、ガソリンに代わる燃料としてエタノール使用及び工業用エタノールの増産をうたった国家アルコール計画(PROALCOOL)が1975年に策定された。
国家アルコール計画が施行されてから1985年までの10年間に約65億ドルが投資され、130億ガロン(約500億リットル)のエタノールが生産されました。また、約50万人分の仕事が新たに生み出され、250万台の自動車がアルコール燃料使用車となりました。ブラジルのガソリンスタンドの全てのガソリンには、エタノールが20%混合されている。
現在、ブラジルは年間160億リットルのエタノール生産を維持できる技術と設備を備え、高い技術力や設備、サービスの輸出もしている。国家アルコール計画は自動車の一酸化炭素の排出量を大きく削減し、国の環境保全に寄与しています。現在、国内で走行する自動車は、ガソール車(純粋ガソリンと無水エタノール22%を混ぜたもの)が72.3%、エタノール車が18.9%、ディーゼル車が8.8%となっています。
2006年9月