パウロ・スカフ サンパウロ州工業連盟(Fiesp)/サンパウロ州工業センター(Ciesp)会長
人類最大の天才の1人、ドイツの物理学者アルバート・アインシュタインは、異なる結果が生じると期待して同じことを繰り返す行為を愚行と定義しました。それは、よく知られるところの「同じ轍を踏む」ということでしょう。先週、ブラジルの2011年の国内総生産(GDP)と月例工業生産調査(PIM)に関するデータが発表され、政府は改めて緊急対策を実施するとコメント。もっとも、生気のない数字の裏側に隠された深刻この上ない問題を解決するには、毎度のことですが、一時しのぎで、不完全で、後手に回り、効果も期待薄です。ブラジルは、脱工業化と「同じ轍を踏む」という、ともに劇的なプロセスの真っただ中にあります。
製造業の成長率は昨年、0.1%でした。2012年1月には、PIMのデータによると、工業生産は2.1%の落ち込みを記録しました。2011年の雇用枠の純増は、ゼロでした。言い換えれば、優れた雇用と給与を提供し、興味深いチャンスと、私たちの未来の詰まった工場には、労働市場に参入してきた何百万人という若者を吸収するだけの能力がなかったということです。ヨーロッパ経済危機が原因だと指摘するなら、政府はまたもや過ちを犯すことになります。2011年に世界は、平均すると3.8%の成長率を記録しましたが、私たちはと言うと、2.7%にとどまったのですから。では、その理由は何でしょうか? 長期にわたる錯誤の積み重ねです。つまり、為替相場の上昇、雪崩のごとく流入する輸入品(工業製品の貿易収支赤字は2011年に930億ドルを計上)、遅々として下がらない金利、輸入に対する税制優遇政策といったことが、多くの問題の一部をなしています。しかも、非能率的なロジスティクス、価格が急騰する電力、不当な税負担など、私たち工業部門の競争力を弱体化させる要素などは言うには及びません。
私たちの製造業は、熾烈なまでに苦しめられ、次第に、地位を失いつつあります。1980年代の半ば、製造業はこの国のGDPの27%を占めました。この比率は、2011年には14.6%まで落ち込んでおり、この水準は実質的に、1957年と並びました。その当時のブラジルは、ジュセリーノ・クビシェキ大統領が国家の発展に向けて進むべき道として国の工業化を標榜した時代でした。
工業部門が活力を取り戻すため、そして、その結果としてブラジルの景気が回復するためには、現在の経済・工業政策との決別が必要です。最も喫緊の活動の中には、次のような措置も包含すべきでしょう。つまり、税負担の低減、給与支払総額に対する減税措置、国際的にバランスのとれた水準への利下げ、スプレッド金利の引き下げ、為替におけるレアル高を補填するためのメカニズムの採用、保護貿易に向けた努力、入札を通じた2015年からの電力価格の引き下げ、輸出振興、投資に対する信用の拡大です。
連邦上院において、商品の発送元の州(輸入品の荷揚げ地)で輸入品に対する商品サービス流通税(ICMS)の税率を4%にする決議第72/2010号が承認されることにより、港湾戦争が収束するでしょう。この税制優遇政策のメカニズムによって現在、ICMS減税を利用して輸入品に流通上のアドバンテージが与えられています。その重大な副作用は、雇用の国外移転です。Fiespによると過去10年間で、港湾戦争が原因となってブラジル国内では91万5,000人の雇用創出機会が失われてきました。
成長のためにはブラジルに、力強い工業が必要なのです。というのも高付加価値品目を生産して輸出するこの業界は、大規模な雇用者であり、しかもより高額な給与を支払っており、技術面で他国に従属しないために決定的な役割を担っています。20年という期間で国民1人当たりの所得を倍増させた国はいずれも、工業化された経済によって達成されたのです。私たちの経済政策のパラダイムを変える時が到来しました。異なる結果を求めるならば、その態度も変わらなければなりません。(2012年3月14日付エスタード紙 コラム記事)