昨日の中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策誘導金利(Selic)を0.75%切下げて9.75%と、2010年6月以来の一桁台のSelic金利を決定した。中銀がSelic金利を切下げ始めた昨年8月からでは、2.75%の切下げ幅となっている。
今回のSelic金利の0.75%の切下げには、5人の理事が0.75%の切下げを支持、2人の理事は0.5%を支持したために満場一致とはならなかった。多くの金融アナリストは、次回4月のCopom委員会でも0.75%のSelic金利の切り下げの可能性を予想している。
今回の0.75%のSelic金利の切下げの要因として、2011年の国内総生産(GDP)の伸び率が、工業部門が僅かに1.6%の伸び率で足枷となって2.7%の伸び率に留まったことや今年の鉱工業部門の生産並びに自動車販売が予想を下回ったことがあり、切下げ幅の拡大につながった。
ジウマ大統領が、ヨーロッパ連合国の金融緩和政策による低利資金「ツナミ」によってブラジルなどの新興国の通貨が上昇し輸出に支障をきたしているのは為替操作であり、一方的で人為的な保護主義に相当すると激しく批判していることも、間接的に中銀のSelic金利の引下げ幅に影響を与えた可能性も否定できない。
インフレ分を差引いた実質金利が世界最高のブラジルに、短期投資向けのキャリートレードの資金が大量に流入しレアル高の為替となって、ブラジルの輸出製品の価格競争力が失われており、また輸入製品増加によって国内の工業部門の製造セクターが打撃を受けていることも、引下げ幅の拡大に影響を与えた可能性がある。
米国、ヨーロッパ連合国並びに日本などの先進諸国は、金融緩和政策導入で実質金利がゼロに近い巨額の資金を放出して、銀行の救済や鉱工業部門の活性化を図っているが、それらの低金利の投機マネーが金利の高い新興国に流入、また国際コモディティ価格を押し上げている。
2009年6月から2010年6月までのSelic金利は8.75%と一桁台であったために、手数料のかからないポウパンサ預金の金利が、他の確定金利付き投資よりも有利になったために、預金規制が検討されていた経緯があったが、今回も同様の規制が検討される可能性がある。
今回の0.75%のSelic金利の切下げでも、インフレ分を差引いたブラジルの実質金利は、4.2%と世界トップを維持しており、2位にはロシアの3.4%、インドネシアは2.1%、中国は2.0%、コロンビア並びに台湾は1.6%、ハンガリーは1.4%、フィリピンは1.3%、オーストラリアは1.1%、10位にはインドが0.9%でランク入りしている。
ブラジル銀行は、中銀の0.75%のSelic金利の切下げの発表後に、個人向け自動車購入向けクレジットの月利を1.32%から1.29%、建材購入向けクレジット月利を2.30%から2.26%と利下げを発表している。
大半のエコノミストは、中銀が発表する議事録の内容を検討してから今後のSelic金利の予想をするが、MCMコンサルタント社のエコノミストのアントニオ・マデイラ氏は、4月のCopom委員会でも0.75%のSelic金利の切下げがあることを既に予想、年末のSelic金利は8.5%になると予想している。
またLCAコンサルタント社では、4月の0.5%のSelic金利の切下げ、5月には0.25%の切下げで年末には9.0%になると予想、しかしヴォトランチン・コレトーラ社のチーフエコノミストのロベルト・パドヴァーニ氏は4月に0.75%、5月に0.5%のSelic金利の切下げを予想して、年末には8.5%になると予想している。(2012年3月8日付けエスタード紙)