前もってサンパウロのホテルに予約を入れずにこの町を訪問すると宿泊する場所がない ― これは本コラムで何度も警告してきた。もしホテル業界が対策を打たないなら、ブラジルで開催されるワールドカップ期間中、この状況は極度に悪化することになるだろう。
2014年6月12日から7月13日の期間の予約は、すでに始まっている。市内では、開会式と準決勝を含めて6試合が開催される予定だ。サンパウロ市役所の後援を受けて各種イベントを仕切るサンパウロ観光会社(SP Turis)によると、ほぼ30万人の観光客がサンパウロを訪問する。
この人たちがどこに宿泊するのか、その答えはまさにやぶの中だ。サンパウロ市内のホテルの新たな客室の供給は、完全にストップしている。サンパウロ市内のホテルの客室利用率は、2005年に58.7%だったものが2011年には70.6%に上昇した。このペースで推移するなら、2015年には80.0%を突破するだろう。5年前にブラジルがワールドカップの開催国に決定して以来、サンパウロ市内で既存の410件以外にホテルは新たに建設されていない。提供される客室がわずかに増加しているが、ワールドカップ開催までの残り2年半で、この状況を大きく変えるのは不可能だ。
ただし、業界経営者の利害を代弁するブラジルホテル経営者フォーラム(Fohb)は、事態を完全にコントロールできているという。市場の競争原理により自然と、サンパウロ市内の出張イベント(会議やカンファレンス、契約締結のイベントなど年間1,200万人の同市を訪問する人たちの70%)が減少すると業界は想定する。その結果として、サンパウロにやってくる各国の代表の応援団たちが使用する部屋も提供されるというのが、彼らの主張だ。
コンサルタント会社HGコンスルトリアのマリオ・アルバカーキ取締役は、このような理屈は通らないという。この主張にしろ別の主張にしろ、この業界の主張は、先を読む能力の必要性を示すどころか、準備不足にあることを示しているだけだと警告する。「これまでのワールドカップ同様、今回もブラジル人実業家にとって製品をPRして新しい取引を締結するための、絶好の機会になる。この期間にこうしたビジネス客が姿を消すと期待するのは、重大な誤り。ホテル業界の主張とは反対に、宿泊施設が不足するリスクは高い」という。
7年間にわたってSP Turis社長を勤めて1カ月前に辞任したカイオ・カルバーリョ氏は、投資家が極めて近視眼的な短期投資に注力していることを認める。「投資家たちは、新規にホテルが建設する余地のない一等地にだけ関心を持っているが、2020年までに値上がりする可能性が期待できる周辺部でホテルを立ち上げるなら、それはずっと安くてリターンが大きいものにならないだろうか」と話す。
SP Turisのマルセーロ・レーデル新社長は、2014年までに新たに10棟のホテル建設事業が着工されると見込んでいる。ただし、それまでに完成する見通しは低い。
アルバカーキ氏は、ホテルの部屋不足は避けられない、という。その上で解決法として、別の大都市で他の大規模なイベントの開催にあたって実施された驚くべき手法があるという。同氏が指摘するのは、沿岸部に観光客船を提供し、都市部に対してきわめて高速な輸送手段と組み合わせることで訪問者の宿泊に対応するというものだ。サンパウロ市とサンパウロ州の海岸地帯の間で一般的に交通量が集中する学校の休暇時期と合わせて、応急措置にはなるだろう。いずれにしても、優れたアイデアを持つ人は、その知恵を提供してほしい。
2011年の年明けに際して、業界アナリストは誰も、ブラジルの株式市場のパフォーマンスが実際に記録された変動ほどの大きな打撃を受けるとは予想していなかった。Bovespaの株式指標は18.1%下落して56,754.08ポイントを付けた。大幅な読み違いだ。彼らは、国際経済危機―とりわけ欧州が抱える病巣―がこのような事態を引き起こすと予想できなかった。もっとも、ブラジル経済だけなく主要企業の業績も、平均的に見れば、力強くポジティブと見なせる状態だ。こうした気分が伝播してアナリストは、2012年の見通しを、極めて慎重な視点で分析をスタートさせた。彼らは、あえて大きな変化に賭けようとしていない。(2011年12月29日付エスタード紙)