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ビジネス化するブラジルの労働組合(VEJA 誌 2011年12月21日号) 2011/12/21

 

 上級労働裁判所の裁判長が、労働組合の大部分は何ら労働者を代表するものでもなく、労働組合員の支払った組合費を手に入れるためだけの存在だと指摘。

 

 政治改革でも税制改革でもない。リオ・グランデ・ド・スル州出身のジョアン・オレステ・ダラゼン上級労働裁判所裁判長は、現在、ブラジルで早急に改革すべきものは労働組合だと指摘する。31年にわたって労働者と雇用者の間の訴訟の解決にあたってきた同裁判長は、国内の労働組合のいかがわしい側面について疑問を投げかける。労働組合は無数に存在し、企業に対して交渉するだけの能力もなく、一般的に言って、すべての労働者に義務付けられている労働組合への加盟に伴う巨額の組合費を手に入れることが活動の唯一の目的になっている。ダラゼン裁判長は、労働者自身が労働組合を選ぶことでその労組に貢献する自由を最大限に保証できるよう、ブラジルが国際労働機関(ILO)との協定に早急に署名すべきだという考えを示す。同裁判長はこれによる影響について、労働組合が弱体化されるどころか、むしろ強化されると説明する。現在58歳のダラゼン裁判長は、裁判官としては希な経歴の持ち主だ。貧困家庭に生まれ、公務員試験をパスするまでに、靴磨きと洗車係、雑誌販売員、バスの車掌、販売店員、ウェイター、オフィスボーイなどの職業を経験している。

 

Veja: 労働大臣の辞任は、ブラジルの組合主義が多くの問題を抱えているという兆候ではないでしょうか?

 

ダラゼン: ブラジルの労働組合制度は極めて異常な状態にあり、世界の文明国の潮流に反して野放しであり、労働組合が驚くほど増殖する状況を生み出している。労働組合の数を削減することで組合の代表権が強化され、ひいては交渉能力を引き上げることになる。資本主義経済を採用して成功した国の中で、強力な労働組合を通じて会社と対話する制度が構築されていない国を、私は知らない。不幸にして、ブラジル国内ではそのような制度への見通しは悲観的だ。

 

Veja: それはなぜでしょう?

 

ダラゼン: ブラジルでは、労働組合の大部分が有名無実、あるいはごく小さな代表権を保持しているに過ぎない。矛盾した状態にあって、憲法では単一の労働組合制度を想定している。つまりそれぞれの特定の職種に対して1つの組織が存在するのを認められている。しかし実際には、労働組合は爆発的に増殖している。その理由は、この国では、労働組合を設立するということが大きな利益を生み出すきわめて魅惑的なビジネスだからだ。ブラジル国内には現在、14,000団体以上の労働組合が知られており、労働省は2011年に月間で平均すると105件の登録申請を受理した。その大部分は、労働者を代表するために設立されているのではなく、むしろ、労働組合として組合費を得ることが目的。そして、公金も、説明責任のないこれらの労働組合に対して支払われている。

 

Veja: あなたは、こうした状況を改善するためのアイデアをお持ちですか?

 

ダラゼン: ブラジルは早急に、労働組合選択の自由に関する協定を国際労働機関と批准する必要がある。資本主義経済諸国の中でこれを批准していない国はわずかで、わが国はその1国。この協定は、労働組合とその下部組織の設立、組合費徴収の可否に関する自由裁量を緩和する。組合費の強制徴収の廃止は、基本条件だ。ただし、政界における労働組合改革は現在、不幸にもはるかな道のりの途上という状態にある。この既得権を吸い上げる堅固なネットワークが、数十年をかけて出来上がっているためだ。

 

Veja: あなたは政党と労働組合の結びつき、中央労働組合が政党の意向を受けて活動することを自然なものと考えますか?

 

ダラゼン: 労働組合の下部組織が政党と意思疎通があるのは自然な状態と受け止めている。問題は、政党に対するシンパシーが国家的な利益にかなったものなのかどうかと言うことで、これは常にそうだと言い切れない。それぞれの労働組合が組合首脳部を個別に評価することが必要。労働組合が発揮するリーダーシップが、政治の世界でも常に健全だとは言えない。

 

Veja: 連邦最高裁判所はこのほど、民間イニシアティブと公共サービスの労働者に対するストライキの規定を一元的にまとめるという判断を下しました。実際に両者の置かれている立場は、一元化できるほど類似しているでしょうか?

 

ダラゼン: 民間においてストライキは、一定の手続きを踏んだ上で実施が認められた権利だ。公共部門では、憲法が団交とストライキの権利を保障しているが、しかしながら、その権利の行使は、関連法により自制されることを想定している。ところが不幸にして、関連法は今に至るまでは制定されていない。このため現在の状況は、法律が適用できない大きな空白地帯が存在する。しかも多くの場合、ストライキは暴動につながっている。もう1つの問題は、公共サービスのストライキが何カ月間もの長期にわたるケースがあることだ。ストライキ決行期間を就労日数から差し引けないことが、長期化を助長する方向に大きく影響している。

 

Veja: あなたは公務員のストライキの制限を支持するのですか?

 

ダラゼン: 公務員のストに関する法律の不備について最高裁判所は、民間イニシアティブにおけるストを定めた法律を適用する判断を下している。言い換えれば、公共サービスのスト決行は、基本的サービスを継続しストによる非稼働日数を就労日数から差し引くことを義務付けるということである。ただし実際には、こうした対応はとられていない。例えば郵便局員のストは28日にわたって業務がストップしたが、政府が就労日数から差し引いたのはわずか7日間だけだ。私は、これには違法性があると考える。連邦裁判所と労働裁判所の間でも、このほど双方の裁判官の意見が対立していることが明らかになった。私は、特定の職種はストを決行する権利を保有していないと考える人間の1人だ。裁判官は単なる公務員ではなく、国家の代理人であり、したがって、この分野のストは社会全体を巻き添えにする。裁判官は手本を示すべきだ。このストライキは、基本的権利の確認と自身の生存のための最低限の要求を訴える無数の人々、社会的弱者に被害をもたらす。同じ判断が、軍と警察にも適用できる。

 

Veja: 労働裁判所は、他の一般の裁判所同様、訴訟プロセスに不信を抱かれているのでしょうか?

 

ダラゼン: 労働裁判所は、調停であれ介入であれ、訴訟を解決するにあたって迅速であるというイメージを構築したが、判決で示された権利の認識に実効力があるかどうかという点では、同様のプラスのイメージを獲得していない。9月に245万件の訴訟が強制執行の状態にあったが、これは、言い換えれば判決で認められた権利を獲得できていない人がこの時点までにそれだけ存在したということ。全国平均では、確定判決を受けた労働者のわずか3分の1が、判決で認められた支払いを受け取っているにすぎない。実効力のない判決は、裁判所に対する不信につながる。私たちは、労働者が合法的に保証された権利を受け取ることを保証する必要がある。

 

Veja: 労働裁判所も、強制力がないということでしょうか?

 

ダラゼン: 労働問題の強制執行を迅速化するために法律の見直しと改正を、早急に進める必要がある。そして、時代錯誤で時代遅れの法律を、時代に即したものにしなければならない。前世紀の40年代の法律であり、民事訴訟法で他の裁判官に付与されたような強制力が、労働裁判所の裁判官には与えられていない。労働裁判所の裁判官は、唯一、その判決に伴い発生した義務を強制させる法的根拠が与えられていない存在だ。

 

Veja: 統合労働法(CLT)は時代遅れということでしょうか?

 

ダラゼン: CLTの修正と時代に即した改正は必要だ。この法律は、過度に介入主義的で徹底主義的。法律は労働者に最小減の保護と強力かつ代表権のある組合とを保証するだけにとどめ、それぞれの業種の特性に応じて妥当な適用が可能で業界も受け入れられる包括的な規定を、当事者間で協議すべきだ。米国の労働モデルは、法的に公権力の介入がほぼ存在しない大きな団体交渉制度を構築している。私は、ブラジルがこれに近い制度を導入することを支持する。つまり、規範的な強力な労働組合による最低限のセーフティーネットだ。

 

Veja: 欧州が直面しているような危機的状況において、そのモデルは労働者の立場を危うくしませんか?

 

ダラゼン: より強固かつ広範囲な団体交渉制度が開花することを称賛するのであれば、それは、強力な労働組合が存在することが前提だ。そのための最初の1歩が、労働組合改革。米国やスペイン、ドイツのような強力な労働組合があれば、経済危機においても不平等な水準で交渉が膠着するリスクはない。各労働組合は、その政策が特定の、あるいは別の利害に関係するかを評価することになる。彼らはある時点で、雇用の安定と引き換えに給与を削減することを受け入れることが適切かを検討することになる。こうした対応は、強力な労働組合の代償として公的介入がわずかという環境のもとで、完璧に実現可能だ。

 

Veja: 労働裁判所は外部委託者による多数の訴訟を抱えています。なぜ、この契約形態がそれほど多くの訴訟につながるのでしょうか?

 

ダラゼン: 外部委託が、普遍的に不可逆な現象であることは否定しがたい。しかも、人件費の低減により利益を拡大しようとする中で企業が外部委託による労働力を求めることも理解できる。ただし、過去数10年にわたる国際的な経験からすると、外部委託は多くの場合、労働条件を不安定にする要因であり、衛生面と安全面の不備からくる労働災害の原因になっている。我々は、この問題を正す法律が不足していると受け止めている。企業が正当な必要性なく労働力を確保するために劣悪な条件で外部委託をすることは、禁止されるべきだ。

 

Veja: 現在、労働法違反の激しい業界は?

 

ダラゼン: 上級労働裁判所が抱える訴訟案件の3大被告は、いずれも公共団体だ。それらは、連邦政府と連邦貯蓄銀行、ブラジル銀行である。民間イニシアティブでは、金融機関が労働訴訟で際立った数の訴訟を抱える。

 

Veja: 重い税負担が、ブラジルにおいてインフォーマル雇用の大きな原因になっているのでしょうか?

 

ダラゼン: 税金は事実、重すぎる。この事情は、零細・小企業になるほど大きくなる。大企業と小企業が雇用に対して同一の義務を負うことが合理的とは思えない。理想論で言えば、それぞれの企業の経済規模に応じて雇用義務を設定するような制度の制定だ。インフォーマルな雇用状況にある何百万人というブラジル人労働者を、正規雇用の関係締結に促す決定的な制度になるだろう。

 

Veja: 国家司法審議会(CNJ)が言うような「法衣をまとった泥棒」が存在するのでしょうか?

 

ダラゼン: 極めて不幸な発言だったと考えるが、いずれにせよ、隠し事は望まない。また、あらゆる活動において善良な専門家と不良な専門家が存在することは明白であるが、これを一般化してブラジルの裁判官に対して厳しく指弾して非難すべきものではない。ただし、いくつかのケースでは、関係する裁判官の規律を履行させるための厳格な監査手法を採用する必要があることも認識している。

 

Veja: 裁判官に対する最大の処罰が定年の強制という事実は、大衆に対して裁判官は処罰されないというイメージを強くしませんか?

 

ダラゼン: 司法官地位基本法の修正は、他の罰則も含めて必要だが、強制定年制度は、厳密には裁判官に与えられた恩典ではない。最高刑が強制定年という場合、行政上の処分だけを指す。なぜなら、その後、司法の場でその行為に対して責任を問われる可能性があり、有罪と認められた場合には失職して受け取るはずの年金を失う可能性があるからだ。

 

Veja: しかし、これまでに失職して年金を失った裁判官がいますか?

 

ダラゼン: 私は知らない。

 

Veja: あなたは、質素な家庭に生まれました。それはあなたの人生にどのように影響を与えたのでしょう?

 

ダラゼン: 実際のところ、私は下層、それも極めて貧しい家族の出だ。私は靴磨きをやり、洗車係をやり、雑誌販売員をやり、クリチーバでは松の実を販売し、車掌をやり、店員もやったしウェイターとオフィスボーイもやった。しかしながら私は、勉強をあきらめたことがない。若い頃の私は公務員試験に専念していた。私は連邦貯蓄銀行の書記と査察官も務めた。そうして裁判官になるまで、裁判所職員から検事、パラナ連邦大学教授もやった。懸命に働いた。喜んで112時間以上働き、世の中がより良くなる道を模索している。そうして初めて、私の良心には安寧が訪れ、ゆっくり寝ることができる。

 

 

 

 

 



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