格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は昨日17日に、ブラジル連邦政府が財政目標達成に取り組む姿勢を評価して、ブラジルの長期外貨建て格付けを1段階引き上げて「BBB」にすると発表、見通しは「安定的」としている。
S&Pは格上げの理由について「ジウマ・ロウセフ政権は財政目標の達成に向けて強い意志を表明しており、ヨーロッパの財政危機や米国の経済減速など外的ショックに、耐えられる体質になってきている」と評価している。
S&Pはさらに「連邦政府が慎重な財政・金融政策採用を行うと予想、またブラジルの経済ファンダメンタルズが増していること、潜在的な外的ショックによるブラジル経済への影響は小範囲にとどまり、長期的で堅調な経済成長は継続する」と評価している。
今年1月に就任したジウマ・ロウセフ大統領は昨年の国内総生産(GDP)伸び率が7.5%と過熱していたために、景気沈静化とインフレ抑制への対応で歳出500億レアル削減する方針を発表、従来の景気刺激型から景気抑制型に財政政策を修正した。
しかし連邦政府にとっては目標を上回る水準で推移しているインフレ率が頭痛の種となっているが、支出削減策の効果や欧米を中心とした世界的な景気減速の影響で、最近では低下の兆しが表れてきている。
連邦政府は今年のプライマリー収支の目標黒字1,178億9,000万レアル達成を目指していたが、米国やヨーロッパを中心に世界経済がさらに悪化した場合に備えるために、連邦政府は歳出を抑制して高水準にある金利の引き下げを誘導する目的で、今年の財政プライマリー収支黒字をGDP比0.25%に相当する100億レアル引上げると発表、また2014年までの長期のプライマリー収支黒字目標額も評価された。
またリーマンブラザーズ銀行破綻による世界金融危機発生前の2008年8月のブラジルの外貨準備高は2,050億ドル、今では3,516億ドルまで上昇、また今年1月から7月までに政策誘導金利(Selic)は1.75%上昇、しかし8月末から始まったSelic引下げサイクルも評価された。
国際通貨基金(IMF)では今年のブラジル政府の公的債務のGDP比は65%に達すると予想、しかし今後は緩やかに減少して、2016年にはGDP比57.2%まで低下すると予想していることも評価されている。
一方で米国の格付けは今年の公的債務のGDP比100%から2016年には115.4%に上昇予想の要因も影響して、1941年から継続していた最上位AAAから1ランク下のAA+に格下げされた。
日本の今年の公的債務のGDP比233.1%から2016年には253.4%と引き続き上昇一途を予想、しかしヨーロッパ諸国の公的債務上昇予想にも関わらず、ドイツは82.6%から75%と大幅減少が予想されている。
元中銀総裁でガヴェア・投資ファンドのアルミニオ・フラガ氏は「現在の世界情勢の中での格上げはブラジルにとって非常に重要であり、ブラジル政府の取り組みが評価されている」とコメントしている。
ブラジルの1段階引き上げの「BBB」の格入りでメキシコ並びにロシアと同格、ラテンアメリカではチリのA+に次ぐ格付けとなり、ペルーはBBB‐、ウルグアイBB+、コスタリカ並びにグアテマラがBB、パラグアイBB-、ヴェネズエラ並びにボリヴィアがB+、アルゼンチンはB、エクアドル並びにジャマイカがB-となっている。(2011年11月18日付けエスタード紙)