「ダボス会議」と呼ばれる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会が今月21日からスイス東部のダボスで開幕、パウロ・ゲーデス経済相は、世界各国の投資家が一堂に集まる機会をとらえて、ブラジルのWTO政府調達協定(GPA)の導入を発表する可能性が示唆されている。
政府調達協定(GPA)は国や地方政府、政府関係機関などの公共セクターが公共事業や物品購入などを行う場合、一定額以上の調達には内外無差別の競争入札を義務づけ、外国企業にも平等に開放する政策で、ブラジル国内市場の公共セクターの開放は年間1兆7,000億ドル相当の投資に匹敵する。
WTO加盟国のうち、政府調達協定を締結した国家間でのみ発効、加盟国はアメリカ並びにEU(欧州連合)、日本、中国、オーストラリア、カナダなど28カ国で、新興国の加盟国は僅かとなっている。
GPAは1979年に初めて締結され、対象は国の物品購入のみが対象であったが、その後、ウルグアイ・ラウンドと並行して改定交渉が進められて1994年に署名、1996年に発効した協定では、対象となる機関が地方政府や政府関係機関などに拡大、サービス調達への適用、調達への苦情処理制度導入などが盛り込まれた。
さらに2011年12月15日、WTO・GPA閣僚会議で新協定が最終合意に達し、17年ぶりに協定は改定。新協定では対象となる公的機関がさらに拡充、調達範囲の拡大、開発途上国を対象とした加盟推進のための条項の導入、電子入札制度の導入などより効率性を重視した国際的ルールが規定された経緯がある。
政府調達協定(GPA)の導入は、入札条件の透明な公示、公平な条件下による参加企業の拡大、困難なカルテル形成、汚職防止効果などで公正な入札が可能となる。
ジウマ・ロウセフ政権時代には、国内産業保護を前面に打ち出した産業政策「ブラジル拡大計画(PBM : Plano Brasil Maior)」で、ブラジル産の国防産業や医薬品、機械・装置、繊維製品などに25%の優遇税制を導入していた経緯があった。
フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ政権並びにルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ政権、ジウマ・ロウセフ政権時代には、政府調達協定(GPA)の導入は少しも検討されなかった。
2018年4月にブラジルとチリ政府は政府調達についての協定締結、ブラジル並びにチリ両国の企業は公平な条件で、両国政府調達の公共入札への参加が可能となる。ペルーとの政府調達協定は2016年5月に結ばれていた。
2019年からチリ並びにペルー、メルコスールでの政府調達協定の施行に伴って、ゼネコンを中心にブラジル企業は、総額1,090億ドルに達する市場への参入が可能と見込まれている。(2020年1月21日付けヴァロール紙)