WhatsAppと競合するコミュニケーションプラットフォームであるRoket Chatは、南大河州の州都ポルト・アレグレ市で4年前に誕生したが、当初はブラジル国内市場での使用を目的としていた。
営業・管理・顧客対応などの進捗管理のフレームワーク提供のPipefy社は、パラナ州のクリチーバ市で誕生、今では156ヵ国で活用されているが、当初はブラジル国内向けとしたスタートアップ企業であった。
ベンチャーキャピタルであるRedpoint Venturesにも投資を行っている価格比較サイトのBuscape社の共同創業者Romero Rodrigues氏は、数年前まではブラジルのスタートアップ企業に投資する投資ファンドは少なかったが、今では世界有数の投資ファンドがブラジルのスタートアップ企業に注目していると指摘している。
昨年だけでもベンチャーキャピタル企業は、ブラジルのスタートアップ企業に対して前年比51%増加の13億ドルを投資、ブラジルのスタートアップ企業でユニコーン企業に化けたのは、Nubank社並びに Movile社、 Stone社、 99社、 Pag-Seguro社、 Gympass社でそれぞれの市場価格が10億ドルを突破している。
2012年創業のGympass社は、今年6月に3億ドルの投資を受けて果敢に海外市場開拓を予定、既に14カ国で契約しているが、ブラジル国内での事業成功で海外進出を決定したとJuliano Ballarotti副社長は説明している。
ブラジルのスタートアップ企業にとって、ブラジル国内市場は巨大で未成熟であったために、海外市場に目が向いていなかったが、国内マーケット規模が小さいイスラエルやアルゼンチン、コロンビアのスタートアップ企業の創業者は、初めから海外市場に焦点を当てている。
ブラジルのフィンテック企業Nubank(ヌーバンク)は、今年6月にクレジットカード所有が人口の僅か10%で大きな事業拡大が見込めるメキシコに支店を開設、またアルゼンチンには来年の進出をDavid Velez共同創業者は発表している。
スタートアップ企業と何らかの形で連携を狙っているイタウー銀行やブラデスコ銀行等の大企業がスタートアップとの物理的な距離を縮めるためのスペースを低価格、場合によっては無償で提供している。
イタウー銀行スタートアップ・エコシステム担当のRenata Zanuto主任は、ブラジルのスタートアップ企業の海外進出は新しい流れで自然であるが、事前に相手国の法律や規制などを把握する必要があると指摘している。(2019年9月8日付けエスタード紙)