連邦政府は35件に達する自由貿易協定でサインをしているにも拘らず、政治的なブロクラシーが足枷となって、自由貿易協定の発効に至っていない。
ブラジル企業はアルゼンチンやパラグアイ、ウルグアイで投資総額が800億ドルに達する公共入札に参加できるにも関わらず、ブラジル側のブロクラシーで発効に至っていない。
またブラジル人はチリ国内でのセルラー使用で、契約している通信事業者のサービスを、利用契約していないほかの通信事業者の設備を使って受けられるローミングが可能となっているにも拘らず、許可が遅れている。
パウロ・ゲーデス経済相は、今後3週間から4週間以内にヨーロッパ連合とメルコスールの自由貿易協定は締結できると見込んでいる。またカナダとの自由貿易協定も進んでいると楽観視している。
連邦政府は35自由貿易協定でサインをしているにも拘らず、行政のブロクラシーや国会や特別委員会での承認などに時間を費やしており、自由貿易協定が発効するまでに平均4年半を費やしていると全国工業連合会(CNI)は指摘している。
ブラジルとチリとの自由貿易協定は2018年11月にサインが交わされたが、行政部門でストップ、メルコスール域内の公共入札プロトコーロは2017年12月にサインされたが、国会で止まっている。
またアラブ首長国連邦との二重課税防止条約は2018年12月、シンガポールとは2018年7月、スイスとは2018年3月にサインされたが、未だに発効に至っていない。
コロンビアとの投資協定は2015年10月、アラブ首長国連邦とは2019年3月、マラウイ共和国とは2015年6月、モザンビークとは2015年3月、エチオピアとは2018年11月、スリナムとは2018年2月、ガイアナ共和国とは2018年12月にサインされているが、未だに行政や国会で止まっている。
公的年金制度への二重加入の解消を目的としたブラジルとスイス間との社会保障に関する協定は2011年10月にサイン、カナダのケベック州政府とは2014年3月にサインされたが、未だに発効されていない。
またペルーとの自由貿易協定拡大は2016年4月、米国とのテクノロジーに関するセーフガード協定は2019年3月、新BRICS開発銀行の合意は2018年7月にサインされたが、未だに発効されていない。
ブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は、35自由貿易協定がブロクラシー問題で停滞しているが、協定発効してもブラジルの競争力が備わっていないので、それほどの輸出増加は期待できないとコメントしている。
2018年のブラジルの貿易収支は583億ドルの黒字を記録したが、今年は米中貿易摩擦やアルゼンチンの為替危機の影響で400億ドルの貿易黒字に留まると予想されている。(2019年6月9日付けエスタード紙)