今年1月1日に就任したジャイール・ボルソナロ大統領は、就任100日以内の実施を約束した35項目のうち僅か13項目の実行に留まり、報道関係者がハネムーン同様に好意的で大目に見る100日を過ぎてからのボルソナロ政権への突き上げが憂慮されている。
就任100日以内の実施を約束した35項目の中では、空港や道路の運営権民営化、INSS不正削減対策、前政権の29省庁から22省庁への官庁合併、政治家指名の信任公務員の大幅削減、銃器所有規制緩和の大統領暫定令、米国・カナダ・オーストラリア・日本からの短期ビザ免除の大統領暫定令などは実施された。
実施約束項目の35項目は治安・汚職撲滅、経済、行政、教育・人権、外交、健康・環境並びに科学・農業の7分野に分類できるが、実行並びに約束された項目は13項目に留まっている。
治安・汚職撲滅分野では、セルジオ・モーロ法相が「犯罪防止法案(Lei Anticreme)」を発表、法案には組織犯罪、汚職、暴力犯罪に対抗する14の法改正が含まれている。
犯罪防止法案の詳細内容では「文書偽造罪で処理された選挙時の裏帳簿は罰則認定」、「2審判決からの禁固刑開始」、「銃撃戦による犯罪者殺害時の警察官の罰則緩和」、「汚職や公金横領、被害者を死傷させた強盗犯の自宅禁固刑禁止」などが挙げられている。
犯罪防止法案は今年2月に下院に持ち込まれたが、モーロ法相とロドリゴ・マイア下院議長との間の軋轢の影響で、今年7月までの国会承認待ちとなっているものの、約束された項目に入っている。
また1月15日に署名された銃規制緩和の大統領令9685号/19では、25歳以上で前科や精神疾患もなく、射撃技術の認定証所持者が銃所有の正当な理由で承認されれば4丁までの銃所有が許可される。
ラヴァ・ジャット汚職関連事件の早期解明のために、クリチーバ市並びにサンパウロ市、リオ市、ブラジリア市の連邦警察の担当官の大幅増員を実施している。
経済関連分野では、4月5日までに12カ所のリージョナル空港、10カ所の港湾ターミナル、国庫庁の臨時歳入が27億レアルに達する南北鉄道の民営化を実施している。
行政関連分野では、連邦公務員試験の合格者でない政府高官から指名される信任役職(position of trust)に対する明確な労働規定導入で、今まで議会運営で度々行われていた閣僚ポスト割振りの代償としての議会の支持取付防止を実施する。
またブラジル通信公社(EBC)の再構築、2万1000人の行政担当の信任役職公務員削減を補填する連邦公務員試験の実施、4月4日発表の税務関連のオンライン相談がそれぞれ約束されている。
教育・人権関連分野では、ブラジルから文盲を一掃するためのブラジル文盲撲滅制度導入の研究グループ設立、青少年の自虐・自殺予防のための国家プログラム実施の大統領のサイン待ちとなっている。
健康・環境関連分野では、3月22日に海洋ゴミ回収プログラムを発表、海岸を擁する274市町村は海洋ゴミ回収並びにリサイクル事業に参加。科学・農業関連分野では、1月31日に農務省のテレーザ・クリスティーナ農務相がブラジル家族農業プログラムにサイン、不正防止のための厳しい登録制度を導入。外交関連分野の実施項目は皆無となっている。(2019年4月10日のUOLサイトより抜粋)