2018年の正式なGDP伸び率は、昨日28日にブラジル地理統計院(IBGE)から発表、2018年のGDP伸び率は、一般消費が牽引したものの国内外の不安定要因が国内総生産伸び率を阻害して前年比1.1%増加に留まった。
今年1月ジャイール・ボルソナロ新政権が誕生、年金改革をはじめとした構造改革に着手への期待で、景気改善ムードは漂っているにも関わらず、今年1月のGDP伸び率は僅か0.4%増加、今年のGDP伸び率は、予想の3.0%を大幅に下回る2.0%増加に留まると予想されている。
就労・失業者管理センター(Caged)の発表によると、今年1月の労働手帳に記載される正規雇用は僅か3万4,000人増加に留まり、当初予想の8万2,000人を大幅に下回っている。
2014年第2四半期~2016年第4四半期まで継続した経済リセッション期間中のGDP伸び率は大幅なマイナスを記録していた。しかし昨年のGDP伸び率が1.1%増加に留まった要因として、国内では昨年5月末から11日間継続したトラック運転手の国道封鎖抗議デモ、不透明な大統領選挙、海外ではアルゼンチンの為替危機、米中の貿易摩擦などがブラジル国内での投資の阻害要因となっている。
2016年第4四半期のGDP伸び率はマイナス4.5%と景気の底を記録、2017年のGDP伸び率は1.1%とプラスに反転、2018年第3四半期までのGDP伸び率は1.4%増加したにも関わらず、最終四半期が不振であったために通年では前年に続いて1.1%増加に留まった。
2018年第1四半期のGDP伸び率は0.4%増加、第2四半期はゼロ、第3四半期は0.5%増加、第4四半期は僅か0.1%増加、第4四半期のGDP伸び率の内訳では、サービス部門のGDP伸び率は前四半期比0.3%増加、商業部門はマイナス0.1%、製造業部門はマイナス0.3%、農畜産部門のGDP伸び率は0.2%増加に留まっていた。
また第4四半期のGDP伸び率の内訳では、住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)部門のGDP伸び率は、前四半期の6.6%増加から一転してマイナス2.5%、一般家庭の消費は0.4%増加、公共支出はマイナス0.3%であった。
2018年のGDP伸び率の内訳では、国内総固定資本形成(FBCF)部門のGDP伸び率は、過去4年連続のマイナスから一転して前年比4.1%増加、一般家庭の消費は1.9%増加、輸出は4.1%増加、輸入は8.5%増加していた。
実質賃金の2.7%増加、1.6%の失業率改善、一般消費向けクレジットの1.6%増加で、今年も一般家庭の消費が2.0%増加でGDP伸び率を牽引するとテンデンシアス・コンスルトリア社マクロ経済担当のアレサンドラ・リベイロ取締役は予想している。
イタウー銀行では、今年のGDP伸び率は一般家庭の消費が牽引して2.0%増加を予想、Factor銀行チーフエコノミストのジョゼ・フランシスコ氏は、ブラジル国内のコントロールされたインフレや低金利にも拘らず、アルゼンチンの経済リセッションや不安定な世界情勢で、今年の製造業部門のGDP伸び率は2.0%増加に留まると予想している。
また中国資本Haitang銀行では、今年末まで政策誘導金利(Selic)は6.5%を維持すると予想、今年第1四半期のGDP伸び率は0.2%増加、第2四半期は0.6%増加に加速、第3四半期は0.8%増加、第4四半期は1.0%増加で、今年のGDP伸び率は2.2%増加を予想している。
2018年のGDP伸び率は1.1%増加を記録したにも関わらず、2018年の一人当たりのGDP伸び率は人口増加の影響を受けて、前年比僅か0.3%増加の3万2,747レアルに留まっている。
ブラジルの一人当たりのGDP伸び率推移では、リーマンブラザース銀行破綻をきっかけとした世界金融危機が発生した2008年の翌年の2009年は前年比マイナス1.1%を記録した。
続いて経済好調であった2010年は6.5%増加、2011年3.1%増加、2012年1.0%増加、2013年は2.1%増加したが、経済リセッションが開始した2014年はマイナス0.3%、2015年はマイナス4.4%、2016年はマイナス4.1%、経済リセッションを抜け出した2017年は0.3%増加していた。
2010年以降のGDP伸び率の推移では、経済が好調であった2010年は7.5%増加、2011年は4.0%増加、2012年1.9%増加、2013年3.0%増加、経済リセッションに突入した2014年は僅か0.5%増加、経済リセッション真っただ中の2015年はマイナス3.5%、2016年はマイナス3.3%を記録していた。(2019年3月1日付けヴァロール紙)