昨日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、2018年のGDP伸び率は、前回予想の2.37%から2.18%に下方修正されて5週連続での下方修正を記録、今後も5月下旬から11日間継続したディーゼル燃料価格値下げ要請を発端とした、全国規模のトラック運転手の国道封鎖の抗議デモの影響が続けば、今年のGDP伸び率は2.0%を割る可能性も否定できない。
ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2018年第1四半期の正式な国内総生産(GDP)は前四半期比0.4%増加、経済リセッション期間の8四半期連続での減少から5四半期連続で増加して、景気回復基調となっていた。
今年第1四半期の農畜産部門のGDP伸び率は前四半期比1.4%増加、鉱工業部門は0.1%増加、サービス部門は0.1%増加、住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)部門は0.6%増加、一般消費部門は0.5%増加、連邦政府支出部門はマイナス0.4%を記録している。
しかし全国規模のトラック運転手による国道封鎖の抗議デモの影響は、当分続くと予想されているために、J.P.Morgan社では、今年のGDP伸び率を前回予想の2.4%から1.2%と極端な下方修正を行っている。
またOxford Economics社も今年のGDP伸び率を前回予想の1.9%から1.6%に下方修正した一方で、元中銀総裁が率いるA.C.Pastore&Associados社では、今年のGDP伸び率は2.0%を下回ると危惧している。
J.P.Morgan社では、トラック運転手による国道封鎖の抗議デモは景気回復をされに遅らせる要因となって、今年のGDP伸び率を0.7ポイント下落に相当する悪影響を及ぼすと説明している。
Oxford Economics社では、トラック運転手による国道封鎖の抗議デモ発生前の5月中旬の今年のGDP伸び率を2.2%から1.9%に下方修正していたが、トラック運転手による国道封鎖の抗議デモ発生後は、さらに前回予想の1.9%から1.6%の下方修正を余儀なくされている。
トラック運転手による国道封鎖の抗議デモの後遺症、製造業部門の低い設備稼働、負債増加、不明確な工業政策、予断を許さない大統領選挙の行方、困難な構造改革実施など景気回復を後押しする要因が不透明で、企業経営者にとっては投資できない環境になっているとA.C.Pastore&Associados社のアフォンソ・セルソ・パストーレ社長は指摘している。(2018年6月5日付けヴァロール紙)