2日間連続で発生しているディーゼル燃料価格値下げ要請を発端とした、全国規模のトラック運転手の国道封鎖による抗議デモの影響は、裾野産業の広い自動車業界や食品業界を直撃している。
連邦政府では、石油派生品の国際コモディティ価格やレアル通貨に対するドル為替の変動、国内の石油派生品需要などを加味した価格決定方式は変更しない代わりに、ディーゼル燃料価格を引き下げるための一般的に燃料税と呼ばれる経済支配介入納付金(Cide)の税率引き下げを示唆しているにも関わらず、トラック運転手の国道封鎖による抗議デモは、継続すると見込まれている。
しかしトラック運転手の国道封鎖による抗議デモは、“Just in time”システムで余分な部品在庫を持たない自動車メーカーや部品業界、食品業界の生産システムを直撃して大きな影響が出てきている。
ブラジル全体のGDPの20%を占めている自動車業界の生産は、過去18カ月連続で前年同月比増加して回復傾向を示しているが、昨日22日のトラック運転手の国道封鎖による抗議デモは22州に及んでいた。
GM社の自動車生産では、国道封鎖による抗議デモで自動車部品の物流システムを直撃して、自動車生産部門の部品不足による生産中止が始まり、またGMディーラーへの自動車輸送に支障が出てきている。
Ford社のバイア州の自動車生産のカマサリ工場並びにサンパウロ州のエンジン生産のタウバテ工場でも国道封鎖による抗議デモで部品不足が発生している一方で、サンパウロ州の自動車並びにトラック生産のサン・ベルナルド・ド・カンポス工場では、今のところ影響は出ていない。
またPeugeot車並びにCitroen車を生産するPSA社のリオ州ポルト・レアル自動車工場でも部品不足の兆候で、今後の国道封鎖による抗議デモ如何では、生産中止に追い込まれる可能性も否定できない。
昨日Volvo社のトラック生産のクリチーバ工場の午後5時始業の夜勤組の製造部門で部品不足が発生、日産の自動車生産のリオ州レゼンデ工場でも部品不足による操業中止、フィアット社のミナス州ベッティン工場並びにペルナンブーコ州ゴイアナ工場でも昨日午後から部品不足が発生している。
Santos Brasil社の主要港湾ターミナルであるTecon Santos社は、1日平均2,200台のトラック貨物を取り扱っているが、昨日は国道封鎖の影響で、開店休業状態であった。
また大穀倉地帯の中西部地域の穀物輸送を担うパラナグア港並びにアントニーナ港を管理するAPPAでは、1日平均1,400台のトラック貨物を取り扱っているが、昨日は僅か333台のトラックの入港に留まっている。
大手食品会社Aurora社の物流を一手に引き受けているAurora食品中央協同組合(Cooperativa CentralAuroraAlimentos)では、冷蔵車300台並びに生肉輸送車200台、飼料運搬車120台を抗議デモの一環として車庫に留め置いているが、Aurora社にとっては、1日当たり5,000万レアルの損害が予想されている。(2018年5月23日付けヴァロール紙)