2005年の全州政府の州政府公務員に対する社会保障向けのインフレ指数を差引かない名目年金・恩給支給総額は773億レアルに留まっていたにも関わらず、2017年には、111%増加に相当する1,630億レアルに膨張して、各州政府の財政圧迫の最大要因となっている。
2005年~2017年のブラジルのGDP伸び率は、僅か28%に留まっているにも関わらず、州政府公務員に対する年金・恩給支給は、社会保障院(INSS)の民間企業従業員向け年金・恩給支給による赤字を遥かに上回り、州政府の財源圧迫に拍車をかけている。
今年10月の地方統一選挙を控えて社会保障院(INSS)の年金・恩給改革が国会での承認が難しいために、年金・恩給改革は大統領選挙後若しくは次期政権にゆだねられた。
しかし早急な州政府公務員向け年金・恩給改革を実施しないと社会保障院(INSS)の年金・恩給改革だけでは、意味をなさないとゼツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre-FGV)のジョゼ・ロベルト・アフォンソ調査員は指摘している。
2005年~2017年の各州政府の州政府公務員に対する年金・恩給支給比率が最も上昇したのは、セルジッペ州の455.6%、ピアウイ州412.1%、サンタ・カタリーナ州400.7%がそれぞれ400%以上増加して、各州政府の財政危機に拍車をかけている。
前記同様にミナス州は396.7%、パラー州371.4%,アラゴアス州69.6%、南マットグロッソ州357.4%、マットグロッソ州356.6%、バイア州352.6%、ゴイアス州は340.2%とそれぞれ300%以上増加している。
最も年金・恩給支給向け支出伸び率が低かったのは、アマゾナス州の11.7%、北大河州127.7%、サンパウロ州158.5%、リオ州162.4%、連邦直轄地ブラジリア1635.3%、マラニョン州169.2%、ペルナンブーコ州178.8%、南大河州は197.2%でそれぞれ200%以下の増加率となっている。
各州政府の州政府公務員に対する年金・恩給支給の急増の要因として、高齢化による年金・恩給受給期間の増加であり、各州政府の現役公務員は270万人に対して、年金・恩給受給者は200万人に達して財源を圧迫している。
また2003年以前に採用された州政府公務員の年金は、最終サラリーの上に現役公務員と同様のサラリー調整と同じ年金・恩給調整を受けるために、民間企業従業員の年金・恩給との格差は毎年拡大していくシステムとなっている。(2018年5月10日付けエスタード紙)