ミッシェル・テーメル大統領が与野党議員や国民の支持を無視してまで、実行を敢行しようとしていた年金・恩給改革は、リオ州の治安確保のための直接統治令発令中は憲法改正が不可能となり、憲法改正案(PEC)である年金・恩給に関する社会保障制度改革は、直接統治令が解除される今年末まで、国会での承認の先送りを余儀なくされている。
しかし2017年中の年金・恩給改革が国会での承認が濃厚とみられていたために、昨年1年間で140万人の年金受給が承認され、そのうち47万人が年齢による年金入りではなく、年金納付期間を満たした年金入りとなっている。
ブラジル人の高齢化で年金給付開始年齢が上昇の一途を辿っていたが、昨年の年金改革前の駆け込み需要で、2016年の女性の平均年金入り年齢53.2歳が2017年意は52.8%に短縮、男性も55.8歳から55.6歳に短縮している。
ブラジル地理統計院(IGBE)の調査では、53歳のブラジル女性の平均余命は30年、55歳のブラジル男性の平均余命は24歳となっているために、年金改革では男性の最低年金受給年齢を65歳、女性は62歳への引上げが検討されていた。
先進国の経済成長と発展途上国への経済援助、貿易拡大などを目指す国際機関で「先進国クラブ」といわれ、ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め35ヶ国の先進国が加盟する経済協力開発機構(OECD)の調査では、男性の平均年金受給開始年齢は64歳であるにも関わらず、加盟申請中のブラジル男性の平均年金受給開始年齢は最も低年齢となっている。(2018年3月6日付けエスタード紙)