2017年の社会保障院(INSS)の赤字は、前年比18.5%増加の2688億レアルに達して、毎年社会保障院(INSS)では年金・恩給などの支払増加で、赤字幅が雪だるま式に増加してきている。
2017年の職業軍人一人当たりの平均年金支給額は、社会保障院の平均支給額の16倍以上に相当する9万9,400レアルを受給しており、年金支給額格差が拡大の一途を辿っている。
また昨年の連邦政府の公務員一人当たりの平均年金支給額は6万6,190レアルであったが、社会保障院(INSS)による一人当たりの平均年金支給額は僅か6,252レアルに留まっている。
2017年の連邦政府への年金支給総額は前年比20.3%大幅増加の452億レアル、軍人の年金支給総額も10.6%大幅増加の377億レアル、その他の公務員の年金支給総額は、37.6%減少の34億レアルに留まっている。
昨年の社会保障院(INSS)の支出は、前年比419億レアルと大幅増加しているため、早急な年金・恩給改革を実施しなければギリシャやポルトガルのように年金・恩給支給額のカットを余儀なくされるとINSSのマルセロ・カエターノ局長は警告している。
2017年のインフレ指数を差引いた社会保障院(INSS)の実質支出は、年金改革前の公務員を中心とした駆け込み需要やブラジル人の平均寿命増加などの要因で、前年比6.7%と大幅に増加している。
昨年の都市部の年金・恩給受給者向け支出赤字は、54.7%大幅増加の717億レアルを記録したが、2015年までは黒字を計上していた。また前記同様に農村部の赤字は、7.1%増加の1,107億レアルに達している。
連邦政府が今年2月19日に予定している年金・恩給改革法案が国会を通過すれば今後10年間の年金・恩給向け支出は5,880億レアルに削減に繋がるために、財政赤字改善には、構造改革の中でも最も困難が予想される年金・恩給改革は避けられない。
仮に2月19日に予定されている年金・恩給改革法案の国会での採択が実施されない場合、大統領や国会議員の当落が判明して影響を受けない10月の地方統一選挙後の11月の採択が誘導と予想されている。(2018年1月23日付けエスタード紙)