2018年の連邦政府の財政プライマリー収支は、社会経済開発銀行(BNDES)による国庫庁への1,000億レアルを上回る供与金返済で、目標の赤字範囲内で収めることができると予想されている。
しかし2019年度の連邦政府の財政プライマリー収支は、1,500億レアル~2,000億レアルの赤字補てんをするために、財政責任法に触れてテーメル大統領の罷免に繋がる可能性のあるゴールデン・ルール変更が与党内で検討されていた。
ゴールデン・ルールとは、景気循環を通じて、連邦政府の借入れの目的を投資目的に限定し、経常的経費を目的とする借入れを行わないとするものであり、国債発行は、発行額を規定した連邦基本法による裏付けを必要とし、その額は予算において見積もられている投資支出総額を超えてはならないと規定されている。
エンリケ・メーレーレス財務相は、2019年の財政プライマリー収支の目標赤字以内に収めるために、歳出調整メカニズムの検討を提示している一方で、ロドリゴ・マイア下院議長は、ゴールデン・ルール変更などの検討の先送りを主張している。
連邦政府では、2018年度の財政プライマリー収支の許容赤字1,590億レアルを達成するために、連邦公務員の給与調整の先延ばしや6万人に及ぶ公務員補充の停止、連邦公社の民営化や資産売却、インフラ整備プロジェクト入札などの臨時歳入だけではカバーできない。
2019年度の予算基本法は8月31日までに国会で承認されなければならないが、ゴールデン・ルールで唯一許可されている補足クレジット(Supplementary credit)も検討されていた。
リオ連邦大学のジョゼ・ルイス・オレイロ教授は、ゴールデン・ルール変更の議論は、社会経済開発銀行(BNDES)による国庫庁への負債返済を促すためのアドバルーンの可能性も否定していない。
BofA銀行エコノミストのDavid Beker氏は、2018年のブラジルの対内債務残高は、昨年のGDP比75.9%から81.0%と大幅に上昇すると予想、新興国では、南アフリカ並びにトルコと並んでブラジルの対内債務残高比率が高いと指摘している。(2018年1月9日付けエスタード紙)