世界で最も労働者に手厚い保護を70年以上に亘って継続していたブラジルの労働法は、11月11日から新労働法が施行されたが、労働訴訟案件を取扱う弁護士は、新たな判例待ちで様子を見ているために、労働訴訟件数が大幅に減少している。
サンパウロ州並びにパライーバ州、ゴイアス州、エスピリット・サント州の地方労働裁判所の平均労働訴訟件数は、新労働法施行後の11月11日~12月6日施行以前の今年1月~11月の平均月間件数よりも70%減少している。
サンパウロ州労働裁判所の今年1月~11月の月間平均の労働訴訟件数は、3万8,781件であったが、新労働法施行後の~12月6日の労働訴訟件数は1万2,409件、新労働法施行前の10月11日から11月10日までの1カ月間では、駆け込み需要の影響で6万5,112件と月平均の2倍近くまで上昇していた。
前記同様にパライーバ州労働裁判所の今年1月~11月の月間平均の労働訴訟件数は2,817件、1,090件、5,899件、ゴイアス州労働裁判所では7,581件、2,450件、5,836件、エスピリット・サント州労働裁判所では3,120件、1,418件、3,322件となっている。
11月11日に施行された新労働法に従って、教育業界大手のEstacio大学では早々に教職員1,200人を集団解雇、またサンルイス病院などを傘下に抱えるRede D'Or社も労働契約している医者や医療専門家を集団解雇していた。
サンルイス病院などを傘下に抱えるRede D'Or社も労働契約している医者や医療専門家100人を集団解雇したにも関わらず、サンパウロ州労働裁判所の判事は、集団解雇のやり直しを命じている。
新労働法では、労働訴訟費用負担に関して、労働訴訟で敗訴した側が勝訴側の弁護士費用負担するように変更されたために、各弁護士事務所では、労働訴訟に慎重になっているとEstela de Souza弁護士事務所は指摘している。
企業側が1年6カ月の期間を待たずに随時契約社員として再契約する可能性があるために、労働裁判所の判事は、全ての集団解雇を禁止する必要があるとサンパウロ労働法専門弁護士協会(AATSP)のリヴィオ・エネスク会長は指摘している。(2017年12月11日付けエスタード紙)