ブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)の2016年の統計分析調査によると、2016年度のブラジルの労働人口8,890万人のうち半数は、昨年の最低賃金880レアルに達しない平均747レアルであった。
しかし労働人口の所得ピラミッドの頂上を形成する1.0%の最富裕層の平均所得は、ピラミッドの底辺を形成する最貧層の36.3倍に相当する2万7,085レアルとブラジルの所得格差のポートレートを表している。
2016年度のブラジルの労働人口8,890万人の5.0%に相当する444万5,000人の最貧困層家庭の一人当たりの月収は73レアルに過ぎず、世界でも最も所得格差が最悪であるとブラジル地理統計院労働・所得部門担当のシマール・アゼレード コーディネーターは指摘している。
ブラジルの労働者の所得ピラミッドの最上位1.0%の平均月収は2万7,085レアル、その次の4.0%は9,759レアル、前記同様に上位3位の5.0%は5,179レアル、4位の10%は3,256レアル、5位の10%は2,203レアルとなっている。
ブラジルの労働者の所得ピラミッドの最下位5.0%は73レアル、その次の5.0%は293レアル、下位3位の10%は596レアル、所得ピラミッドの下位30%は870レアル以下となっている。
一般家庭の所得構成として、74.8%は労働に対する報酬、18.7%は年金・恩給による所得、2.2%は住宅・農地賃貸報酬、1.1%は食料品補助金やドネーション、3.2%は金融投資・金利収入などとなっている。
2016年の老人や子供を含む一般家庭の平均月収は1,242レアルに留まって、扶養家族を含まない一般家庭の平均月収は2,149レアル、0から1までの値をとり、分布が平等であれば0に近づき、不平等であれば1に近づく係数で、値の大きさが不平等度を測る指標として用いられ貧富の格差を測る指標となっているジニ係数が上昇してきている。
ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)並びに応用経済研究院(Ipea)の調査によると、2016年からジニ係数が上昇してきて社会格差が拡大、昨年のジニ係数は前年比1.2%増加、今年第1四半期のジニ係数は前年同期比1.58%増加して、2年連続でジニ係数が増加したのは、ハイパーインフレであった1989年以来であると元Ipea総裁のマルセロ・ネリ氏は指摘している。
過去2年間のジニ係数が増加した要因として、3年間継続した経済リセッションや失業率増加、高止まりするインフレ、食料品価格の上昇で実質所得が減少した影響で、所得格差が拡大していた。
2016年の老人や子供を含む一般家庭のブラジル全土の平均月収は1,242レアル、地域別比較では、北部地域並びに北東部地域はそれぞれ772レアル、中西部地域は1,403レアル、南東部地域は1,537レアル、南部地域は1,478レアルとなっている。(2017年11月30日付けエスタード紙)