過去2年間のブラジル国内の経済リセッションから漸く回復傾向の兆しがわずかながら表れていたにも関わらず、今年第1四半期の企業買収・合併案件は前年同期比4.3%減少していた。
また5月17日にテメル大統領がペトロブラス汚職捜査で勾留中の前下院議長エドゥアルド・クーニャ被告への黙秘に対する支払いを承認する様子を密かに録音したテープを大手食肉加工会社JBS社の幹部2人が最高裁判所に提出したとの「O Globo」紙の報道を受けて、テメル政権存続などブラジルの政界が混沌としている。
また今年上半期に予定されていた労働法改正並びに年金・恩給改革などの一連の構造改革の今後の国会審議が不透明となっており、海外投資家の信用回復が遅れるために、今後のM&A案件成立に大きな影響が出ると予測されている。
KMPG社の調査によると、今年第1四半期のブラジル関連企業のM&A案件は、前年同期比4.3%減少の201件に留まっており、ブラジル企業によるブラジル企業の買収・合併案件は半分近い86件を占めていた。
また今年第1四半期の外資系企業によるブラジル国内に本社のあるブラジル企業の買収案件は、前年同期比16.0%減少の68件に留まった一方で、外資系企業によるブラジル国内の外資系企業買収は80%増加の18件に達している。
前記同様にブラジル企業の海外での外資系企業買収は13件と前年同期と同じ件数であった。ブラジル企業によるブラジル国内の外資系企業買収も前年同期と同じ件数であった。
コンサルタント会社Transactional Track Record(TTR)の調査によると、今年初め4か月間のブラジルのM&A成立総額は、前年同期比223%増加の1,117億レアルに達していると発表。M&A成立件数は前年同期比5.0%減少の342件と発表している。
KMPG社の調査によると、今年第1四半期のブラジル関連企業のM&A案件のうちインターネット関連企業のM&A案件は29件でトップ、高等教育機関のKroton 及びEstacioのM&A案件や石油・天然ガス関連規制変更によるM&A成立の増加を見込んでいる。
中国資本State Grid社は、2016年6月にゼネコン大手カマルゴ・コレア社が擁していたCPFL Energia社の23%に相当する株を58億レアルで取得。また中国資本中国三峡集団公司(CTG)は、1999年にブラジルの電力エネルギー部門に進出した米国資本Duke Energyのブラジル国内資産を12億ドルで買収している。
J&F社の共営者Joesley並びに Wesley Batista兄弟の司法取引による報償付証言を発端としたサンパウロ平均株価の下落や為替への影響、テメル政権崩壊の可能性や構造改革の遅れなどの要因で、ブラジル企業買収はリスク上昇に反比例して、格下げなどによる企業の時価総額減少で、長期視点を見据えた外資系企業にとっては投資チャンスとなっている。(2017年6月2日付けヴァロール紙)