今月21日、ミッシェル・テーメル大統領は、ブラジルの構造改革の先頭を切って着手していた年金・恩給改革に、地方政府(州・市)の公務員の年金規定の除外を発表、年金改革案に異議を唱えている与野党下院議員の70%のガス抜きに繋がり、国会での年金改革案の承認に大きく前進すると予想されている。
しかし地方公務員の年金改革案の除外で、ブラジルの連邦政府並びに地方政府の公務員の86%が年金改革案の対象外になるため、連邦公務員の司法関係職員や教育関連職員による年金改革案からの除外圧力が強まると予想されている。
連邦政府並びに地方政府の公務員総数は621万4,000人、そのうち年金改革に組み込まれる連邦公務員は85万2,855人で公務員全体の僅かに14%、その他の86%の公務員536万2,000人が年金改革の対象外となる。
地方政府のうち州政府公務員総数は、257万4,307人で公務員全体の41%に相当、市役所職員は242万3,871人で公務員全体の39%に相当、また連邦政府公務員のうち年金改革対象外の軍部関連公務員は、36万3,914人で公務員全体の6.0%に相当する。
ブラジル全国の5,593市町村のうち、60%に相当する3,382市は社会保険院(INSS)の年金システムを採用しているにも関わらず、残りの約2,200市は独自の年金システムを採用している。
昨年末の社会保障院の年金・恩給受給者は、2,830万人で連邦政府の歳入全体の16.4%を占め、また連邦政府の元公務員の年金・恩給受給者は、68万1,000人で歳入全体の15.6%を占めていた。
またサンパウロ州政府の年金・恩給受有者は、33万7,500人で州政府の歳入全体の19.9%を占め、前記同様にリオ州は21万3,800人、26.1%、ミナス州は27万4,300人、34.5%、南大河州18万1,100人、36.1%を占めている。
2016年のサンパウロ州の年金・恩給受給者に対する支出総額は155億レアルであったが、年金・恩給改革を実施しなければ2020年には、サンパウロ州の支出総額は230億レアルに拡大する。
また前記同様にリオ州は60億レアルから106億レアル、ミナス州は60億レアルから150億レアル、南大河州は60億レアルから84億レアルにそれぞれ大幅な支出拡大予想であり、早急な年金・恩給改革が不可避となっている。
地方公務員の年金改革案の除外で、年金改革案に異議を唱えている与野党下院議員の圧力は若干軽減したにも関わらず、農村労働者の年金改革案の見直しが避けられない。
民間企業の労働者は社会保障院の積立金として毎月サラリーの8.0%~11.0%を納付しているが、農村労働者の社会保障院への積立金は、最低サラリーの5.0%以下に抑える案が検討されているとエリゼウ・パジーリャ官房長官は説明している。
また農村労働者の年金受給開始年齢は、新年金改革案の最低受給年齢65歳から60歳への引下げが検討されているが、現在の農村労働者の年金受給開始年齢は男性60歳、女性55歳となっている。
人口が1,200万人に達するサンパウロ市では、フェルナンド・ハダジ前市長時に氏薬粧の財政再建策の一環として年金・恩給改革に着手していたものの、今回の地方公務員の年金改革案の除外で、ジョアン・ドリア市長は更なる厳しい年金改革に着手しなければならない。
2015年のサンパウロ市の歳入総額は30億1,800万レアル、一方歳出総額は62億2,400万レアルで35億レアルの赤字を記録、この赤字35億レアルは、サンパウロ市の幼稚園や病院の建設、道路補修工事費に匹敵する。
サンパウロ市役所の公務員総数は12万5,318人、元サンパウロ市役所職員の年金・恩給受給者は7万513人、すでに年金受給資格を擁している職員総数は1万6,774人に達している。(2017年3月23日付けエスタード紙)