2014年下半期から急激に悪化してきたブラジルの国内景気は現在も低迷を続けており、ラヴァ・ジャット作戦関連汚職問題の影響による大型プロジェクト中止や住宅ブームの終焉で、特に建設業界の失業率が悪化、また延滞率の上昇に伴って資本財向けクレジット縮小、低迷する小売販売などでブラジル経済は負のスパイラルに陥っている。
昨年の新たな労働訴訟件数は、経済リセッションの影響を受けて前年比5.1%増加の266万件、今年第1四半期の失業率は10.9%に達して1,110万人が失業している現状では、今年の新たな労働訴訟件数は前年比13.0%増加の300万人を上回ると上級労働裁判所(TST)のイヴェス・ガンダラ・ダ・シルヴァ裁判長は予想している。
重課税や複雑な税制並びに不整備やロジスティクス、高い人件費・フリンジベネフィット、煩雑で遅延する許認可、不合理な労務問題などにかかる余分な経費とみられるブラジルコスト以外にも、企業にとって操業開始から撤退するまで終始付きまとう、労務コストの一つに挙げられる解雇による労働訴訟が人事担当者の頭痛の種となっている。
ブラジルにおける労働訴訟の新規受付件数は毎年増加する傾向にあり、特に今年は二桁台の失業率の上昇予想で、労務訴訟件数が急増すると予想されているために、売り上げ減少による収益悪化に加えて労働訴訟によるブラジルコストの増加が避けられないと予想されている。
ブラジルでは労働裁判所が「貧者」と認定した低サラリー受給のサラリーマンは訴訟費用が免除され、また解雇された本人にはそのつもりがないにも関わらず, 労働訴訟にたけた弁護士に説得されて 「ダメモト」 で提訴する労働者が非常に多い。
法律事務所労務訴訟担当のデボラ・アラカキ弁護士は、今年2月の労務訴訟申請の依頼件数は前年同月比22%増加していると説明、また今年は解雇されたエグゼクティブクラスも労務訴訟を起こす傾向にあるとアラカキ弁護士は指摘している。(2016年5月11日付けエスタード紙)