2004~2014年に亘って主にインフレ指数以上の最低サラリーの調整並びに「ボルサ・ファミリア」と呼ばれる低所得者層を対象とした社会補助政策導入で貧困層から中間層が拡大、また国際経済も中国を中心に資源需要の増加で追い風が吹き、国内経済も低水準のインフレ率と金利引き下げという金融環境の改善で順調に推移し正規雇用の拡大が続いた。
しかし過去数年は欧州債務危機や中国経済の減速、レアル通貨に対するドル高の為替、第一次産品の国際コモディティ価格の下落など外部環境の悪化も伴って、ブラジルの国内経済停滞による失業率増加や実質賃金低下で中間層の減少傾向が表面化してきている。
ブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)並びに月間雇用調査(PME)の統計をもとに、昨年1月から11月にかけての所得ピラミッド調査では、56.6%を占めていたCクラス層は370万人が乖離して54.6%に減少したとブラデスコ銀行エコノミストのアナ・マリア・バルフィ氏は説明している。
昨年1月から11月にかけてDクラス層は16.1%から18.9%、Eクラス層は15.5%から16.1%にそれぞれ増加した要因として、Cクラス層が56.6%から54.6%に減少したことが貧困層の増加につながっている。
ブラジル地理統計院(IBGE)の戦略問題担当局(SAE)では、1か月間の家庭総収入が1,646レアル~6,585レアルをCクラス層、995レアル~1,646レアルをDクラス層、995レアル以下はEクラス層と分類している。
過去12か月間のインフレ指数は10%を突破しており、低所得層にとって食品並びに電力エネルギー料金、公共交通料金支払いが家庭収入の支出比重に大きいために、2016年は失業率の増加、実質賃金の減少などの要因で社会格差が再度拡大する傾向になると危惧されている。
サンパウロ州商業連合(Fecomercio‐SP)エコノミストのアルタミーロ・カルヴァーリョ氏は、家庭支出調査(POF)の統計で2015年上半期にはCクラス層の120万人がDクラス層に転落したと説明している。
2004年の正規雇用比率は全体の僅かに45.7%、2005年以降は堅調な経済成長とともに正規雇用比率が増加、しかし2015年の正規雇用は一挙に200万人減少して58%、今年は100万人の正規雇用の減少で57.7%まで下がると予想されている。
ブラデスコ銀行では家庭収入に占める年金・恩給収入はDクラス層で34.2%、Eクラス層で37.9%とそれぞれ大きな比重を占めているが、Cクラス層では19.9%、Aクラス層では15.6%とそれぞれ比重が少なくなっている。(2016年1月11日付けヴァロール紙)