中央銀行が11日に発表した6月の中央銀行通貨政策委員会(Copom)会議の議事録で、「タカ派」(保守的)なトーンを維持して2016年末にはインフレ率が4.5%に収束する流れが「強まって」いるとの認識を示す一方で、エコノミストらは、通貨当局が希望する機関にインフレ率を目標の中間値へと収斂させるだけの影響力があるかどうかについて疑問視している。
金融市場では、インフレ目標の達成は難しいというのが一致した見解である。エスタード紙が金融機関28社を対象に聞き取り調査を実施したところ、広範囲消費者物価指数(IPCA)が目標の中間値である4.5%に収まるのは2017年になってからだと16社が回答した。2016年に起こり得るとの認識を示したのはわずか3社だった。さらに3社は、4.5%にインフレが収束するのは2018年と回答した。しかも1社が4.5%まで下落するのを2019年、もう1社も2020年までずれ込むとの認識を示した。さらに、インフレが目標の中間値まで減速しないと回答した金融機関も4社を数えた。
その上で、年利13.75%という2006年以来の高い水準にあるブラジル経済基本金利(Selic)について、エコノミストは、年利14.25%に達した場合にはこれまで保ってきたような物価の上昇を抑制する効果を失うと受け止めている。インフレは単に高い水準にあるというだけでなく、ブラジル地理統計院(IBGE)が10日に2015年5月の月間IPCAを0.74%と発表したように、市場の予想(0.68%)を上回る勢いを保っている。
5月のIPCAが不況にもかかわらず想定を上回ったことで、複数のエコノミストが、2016年にIPCAを目標の中間値である4.5%に収斂させるという作業は中央銀行にとって容易な作業ではないと受け止めており、その多くが、不可能と判断している。5月までの12か月間の累積インフレ率は既に8.47%に達しており、その勢いは、2016年まで尾を引く模様だ。
景気の後退局面で利上げするという中央銀行のインフレ対策に対して批判が高まっているが、中央銀行自身は、11日、2015年の物価の上昇を2016年まで引きずらないようにするためには、「強い意志と忍耐」を必要とするとの見方を示した。
利上げを続行しているにもかかわらず現在のインフレを抑制できず、将来的なインフレ率についても明るい見通しを確保できていないことで、中央銀行は、これまで以上の強いトーンで、これまでの通貨政策を継続するとともに「不寝番」の状態でその効果を見守るとの判断を示した。現在、金融アナリストの間では、7月に予定されるCopom会議で、さらに0.50ポイント利上げされるという見方が拡大している。これまで市場は年利14%がSelicの上限と受け止めてきたが、現在では、この利率は最低水準と受け止められている。一方で、政策金利が年利15%に達するという見方も出てきた。
中央銀行の理事会はインフレを取り巻く状況が悪化していると認めつつも、2016年については引き続き楽観視しており、インフレは翌年には「加速度的」に目標の中間値に収斂するとの見方を改めて示した。だがこの方向性は、前回から今回まで議事録の中で一貫している、何ら改善が見られず安定的という2016年のインフレに対する見通しと矛盾している。
テンデンシアス・コンスルトリアのエコノミスト、アドリアーナ・モリナリ氏は、インフレ率が2016年末に目標の中間値に収斂するとは考えられないと分析、2016年のIPCAを5.4%と予想している。同氏は、インフレ率が中間値近辺を記録した直近のデータは、2009年の4.31%だったと指摘する。その後、2010年から2015年(金融機関を対象に中央銀行が実施している経済動向調査「Focus」では8.46%を予想)まで、累積インフレ率は45.9%にも達している。仮に、これがインフレ目標の中間値に収まっていた場合、この水準を3分の1下回る、30.2%だったことになる。さらにLCAコンスルトーレスの場合、IPCAが中間値の4.5%に落ち着くのは2020年と分析する。一方、エコノミストのエトレ・サンチュエス氏は、2017年に4.7%と予想するが、中間値まで下落する可能性も否定できないと受け止めている。同氏によると、「4.5%に落ち着く可能性は大きい」という。(2015年6月12日付けエスタード紙)