スエリー・カルダス
ジウマ政権の経済政策を批判するエコノミストと実業家、労働者は、少なくとも政府による不作為は批判のやり玉に挙げてはならない。速効性のみを求め将来に無頓着な大統領は、補佐役の経済スタッフに、息をつく間も与えないほどだ。例えばこうだ。ある問題が発生すると、ギド・マンテガ財務大臣が大統領府執務室に急行し、そこで数々の苦言を聞かされ、不当な命令が押しつけられる。財務大臣は、財務省の執務室に戻るや、彼が聞かされたそのままを部下に伝え、大統領の意向に従うよう求める。こうして大臣執務室では対応策が練られ、全国に向けてジレンマを解決する国家的な、大仰な救済策として発表される。これは解決などではなく、最大に見積もっても問題を若干の間だけ緩和するもので、却って、より大きな問題を発生させてしまう。そこで連邦政府は振り上げたこぶしを下ろすのだが、干渉は止めようとせずに、新たな問題が生じるような、別の対策を立ち上げようとする。現在の経済には様々な落とし穴が仕掛けられており、公的資金の浪費を避けるべく、その絡み合った仕掛けを解きほぐすのは容易ではない。だが、経済行政を平和的かつ効率的、機敏に進めてブラジルの経済成長と発展により大きな成果を出すために、大統領の側近は、それどころか大統領自身も、こうした落とし穴を回避していくことが必要だ。
政策を押すべきか退くべきかという判断で、経済的な後遺症を残すことになった連邦政府の誤断のいくつかを、ここで挙げてみたい。
租税支出 ― 自動車と家電、その他の特定の製品の生産を刺激するための減税が実施されたが、2013年と2014年だけで、国庫管理局は1,630億レアルの歳入を断念することになる。しかも、自動車購入の優先順位が引き上げられて消費者が支出をこれに割り当てるために、この租税の優遇措置によって、消費の優先順位が下げられた様々な産業が疲弊する。連邦政府は主張を後退させ一部の業界に対して租税支出を廃止したものの、それでも、特定の業界向けの税制優遇政策は継続している。
国策企業 ―ジウマ大統領は、 ガイセル将軍と同様に内資系多国籍企業を生み出すことが可能だと信じ、それにより、強大な外資系企業グループを打ち負かせるのだと考えた。何十億レアルもの資金が社会経済開発銀行(BNDES)からこれらの企業に捻出された。だが、その狙いは外れ、これらの企業が債務不履行に陥るのを回避するため、大部分の企業に対してBNDESが経営パートナーになる羽目に陥った。数か月前に同銀行のルシアーノ・コウチーニョ総裁は、国策企業への信用供与プログラムを廃止すると発表した。
創造的会計 ― 負債を歳入に繰り入れて連邦政府がプライマリー収支黒字目標を達成するものであるが、実際には、これは誰の目も欺けないような稚拙なトリックだ。モラルが低下し、無数の批判にさらされ、この詐欺行為は、連邦政府に対する投資家の信頼を損なった。失われた信用を回復するため、連邦政府は、2013年会計に創造的会計を導入するのにためらっている。
電気料金 ― 電気料金の引き下げという善意は、その着想と計画の立ち上げ、政策の実施に伴い、大惨事を引き起こした。電気料金は引き下げられたが、消費者は値下げ分を別の形で負担することになった上に、値下げに伴うコスト補填として170億レアルを国庫管理局が負担することで消費者にとってはむしろ支出が増加した。なぜなら、国庫管理局が支援する補償金は、ブラジル国民全員が税金として支払うからである。電力事業では、数々の初歩的なミスがある。例えば、送電線が完成していないという理由から、国内では1年以上にわたって19か所の風力発電所が稼働できずにいる。この問題を政府は2010年に把握しながら、未だに解決できずにいる、深刻な計画性のなさもその1つだ。サント・アントニオ水力発電所とジラウー水力発電所が過負荷になる可能性もある。そこから波及する問題を数えればきりがないほどだ
民営化 ― これはジウマ政権が最大の誤りを犯し、かつ、敗北を喫した部分だ。政治的なご都合主義によるものであれ、イデオロギー上の信念のためであれ、ジウマ大統領は、公共事業の民有化という考えを受け入れるまでに、多くの時間を要した。だが、2年にわたる壊滅的な経済成長とインフラ分野への投資の停滞、公共事業に対する資金不足と非効率性を前に、大統領は考えを改めた。こうして大統領は物流インフラ投資計画(PIL)を立ち上げたのだが、事業入札をただの1度も実施することなく1年が経過した。高速道路、鉄道、港湾、空港、さらに高速鉄道が、盛大に、かつ徹底したマーケティングにより発表されたが、この内、事業化が確定したものは何もない。(2013年8月13日オ・エスタード・デ・サンパウロ紙掲載)
スエリー・カルダスジャーナリスト、リオデジャネイロ・カトリック大学(PUC-RIO)教授