バロール紙は創刊13周年記念として2013年5月2日号において「経済の指針」特集と題し、ブラジル人なら誰もが抱く1つの疑問に対して、あらゆる角度から回答を試みる特集を組んだ。その疑問とはすなわち、「過去2年にわたって様々な経済振興策を実施しながら、なぜ、この国は成長しないのか?」ということだ。
この問いかけに答えるため、エコノミストに執筆を依頼し、にインタビューし、GDPの成長の妨げになっていると思われる幾つかの課題に関して取材を行った。さらにこの特集では、全てにおいて意見が異なるわけではないがスタイルの異なる2人のエコノミスト、エジマル・バーシャ教授とルイス・ゴンザガ・ベルーゾ教授を招き、成長の足かせになっている問題に関して3時間に及ぶ座談会を実施した。
バーシャ教授は、現在、ブラジル民主社会党(PSDB)と関係が深く、クルザード計画とレアル計画の立案者の1人である。ベルーゾ教授もクルザード計画策定者の1人で、現政権の経済スタッフの1人として知られる。座談会では、両氏は共に、経済成長を達成するには何らかの対策によりブラジルの工業部門を救済する必要があるという部分で合意を見た。「中心に据えるべきは工業だ」と、バーシャ教授は言い、「工業分野のレアル計画」を導入するよう提案した。
そこでバーシャ教授は、必ずしも順を追って適用することは重要ではないとした上で、3つのステップを提案。最初は租税政策で、適切な年数を事前に発表したプログラムとし、この期間を通じて漸進的な減税と産業活動に対する合理化を進める。これが、工業部門の最初の問題、つまり租税コストを解決することになる。同時に歳入の落ち込みには、8年にわたる公共支出の管理で対応する。
第2のステップは、URV(実質価値単位)によるレアルの指数化を導入し、輸入税を為替レートで置き換える。広範囲に輸入税を引き下げ、同様に、国産化比率の引き下げと規制と手続きの管理の撤廃を事前に定める。そして第3ステップは、アメリカ自由貿易圏(FTAA)と欧州連合(EU)を含む様々な国際市場と貿易協定を締結する戦略を進めることである。
ベルーゾ教授はブラジルに再工業化が必要だという意見に同意する。だが、バーシャ教授の提案に対し、基本的な部分に疑問を呈した。「為替に輸入税の役割を持たせるとすると、為替レートはどうなるのだろうか?」バーシャ教授の意見は、「為替レートの統制を緩和」し変動させ、現在よりも20%程度ドル高の1ドル=2.40レアル程度に移行すべきという。「いずれにしても、誰が(再工業化プログラムを)やるかによる。もし信用を得た人物なら、資本が流入する」とコメント。
エコノミストの中野慶昭氏は、論説(F3ページ)で、自由主義の国際的な波の中で、1980年代以降、ブラジルにおける権威主義的経済の指向性は、マクロ経済の安定の確保と市場からの信頼の獲得をベースにしてきた。「開発戦略は不必要と考えられてきたし、長期的な計画は後進性の代名詞と考えられてきた」。中野氏によると、かつては、経済成長を確保するには経済を開放し資本を呼び込むだけで十分と受け止められていた。「これに基づく制度が適用された結果、低い経済成長と、景気が回復したと思うとすぐに経済危機が到来する経済サイクル、税負担の大幅な上昇、国際収支の深刻な悪化、為替レートの切上げ、脱工業化という事態に陥った。」
エコノミストのマルコス・リスボア氏によると、ルーラ政権下の大きな経済成長は、生産性の向上が大きな役割を果たしたが、この傾向が過去数年は逆行している。「生産性の向上とは、同一の生産リソースで生産能力を増加させることを言うのであって、何らかの製品とサービスの価格を引き下げるよう強制することと混同してはいけない」。この値下げは、同氏によると、経済の総生産性の向上を伴うことなく、単に業界間のリソースの移転が関係しているに過ぎない。「日和見主義的に解決しようとすることで問題の打開を先延ばしできるが、そうしている間にも、新たな、そしてさらに大きな問題が積みあがってきて、次第に、それが当たり前のことに感じるようになる」と、リスボア氏は書く。
ルイス・カルロス・メンドンサ元大臣は、製品とサービスの供給の問題と高いインフレ率が、成長を阻害しているという意見に同意する。そして、成長がこのように阻害されているのは、「ブラジル経済は既に転換を終えていたがルーラ前大統領の政権下で確立された経済政策を引き継ぐ」という発言に見られるように、ジルマ大統領による間違った判断の帰結なのだ。(2013年5月2日ヴァロール紙)