2013年第1四半期のデータベースによると、インフレを考慮した2013年の賃金の実質ベアは平均で1.4%となり、2012年の1.96%を下回った。
第1四半期に引き上げられた労働者の賃金が、インフレにより侵食されている。労使間社会経済調査・統計所(Dieese)が集計する雇用データベースを構成する労働者の実質ベアは、速報値であるが、第1四半期に平均で1.4%の実質賃上げにとどまっており、2012年通年の1.96%を下回った。労使交渉でインフレ率を上回る給与調整で妥結したのは全体の87%で、こちらも全体の94.6%を下回る。
いずれもDieeseが発表したものだが、2012年は統計が半期ベースのため、前年同期と比較することはできない。ただし2013年の全体の流れは、2012年下半期の傾向を踏襲している。2012年上半期の場合、実質ベアを獲得した業界は96%で、実質賃上げの水準も平均2.23%だった。
Dieeseのコーディネーター、ジョゼー・シルベストレ氏によると、2012年下半期以降、それまでの実質ベア提示が一般的だった傾向に変化が見られる。同氏は、「インフレはすでに沈静化し始め、状況は国内総生産(GDP)の成長率についても工業生産に関しても、好転している」と指摘。こうした事情から、同氏は、2013年に実質ベアが2012年ときわめて近い水準になると予想している。
シルベストレ氏によると、1─3月期の労使交渉は90件。雇用データベースの対象になっている職種には、サンパウロ州のガソリンスタンド店頭販売員とリオデジャネイロ州の土木建築作業員などがある。
ストの拡大
エスタード通信の速報サービス「ブロードキャスト」が複数の専門家に問い合わせたところ、高いインフレ率が労使交渉における給与調整を難しくし、ストの拡大につながる可能性があると指摘。MBアソシアードスのチーフエコノミスト、セルジオ・バーレ氏は、「インフレが昂進し生産性の向上も緩やかなため、傾向としては、労使交渉は相譲らないものになる」と指摘。「これに伴い、2013年にストが拡大することになる」と分析する。
一方、元中銀国際問題担当理事のエコノミスト、アレシャンドレ・シュワルツマン氏は、「現在の過熱した労働市場に後押しされたインフレ圧力がどのような方向に向かうかわからないため、交渉は熾烈になるだろう」と分析する。
同氏は、労働者の所得の向上に由来するインフレ圧力を低減するには、中銀がインフレターゲットの中間値(4.5%)にインフレを収斂させる対策を講じるか、あるいは失業の拡大につながる経済の減速が発生するかを、労働者に納得させる必要があると説明。その上で「中銀はこれらの代替案のいずれをも視野に入れていない」と強調した。
デロイトのファビオ・マンダラノ人材管理担当課長は、「企業がインフレを下回る数値を提示して交渉に挑むことはあり得る」と話す。同氏は、調整率を抑える代わりに、例えばPLR(従業員への利益と成果の分配)の拡大といった補償案を提示しようとすると分析している。(2013年5月1日付けエスタード紙)