外国製品との競争に苦しむ国内産業の保護を目的としてブラジルが過去数年にわたって採用してきた政策に関して、先進国が世界貿易機関(WTO)投資委員会へ提訴しブラジル政府に説明を求める。
米国と日本、欧州連合(EU)による先進諸国がブラジルの工業政策を「差別的である」と疑問を呈し、共同で対応に乗り出す。 ブラジル政府が導入した税制優遇政策を「差別的」と位置付け、明日にも世界貿易機関(WTO)に提訴し、ブラジル外務省に説明を求める。
エスタード紙が入手した外務省に発送された文書によると、発行日は4月15日で、米国政府と日本政府、EUの連名で、過去数か月にわたり様々な業種を対象にブラジル政府が採用してきた対策に関して「憂慮」していることを明確にするとともに、ブラジル政府の対応を求めて圧力を強めている。
さらにもう1つの提訴は、ジウマ政権が特定の対策について、時限的なものと約束してきた事項である。大統領は振興策を一時的措置と説明してきたが、現在、これらの措置は2010年代を通じて継続される見込みである。
大統領府は、ブラジルの工業政策が国際規則に即したものだと強く主張する。だが、これらの先進国は、ブラジルが自国の優遇政策をWTOの規則に対してどのように「整合性」を持って説明できるのかに注目している。実際、WTOの規則は、国産品と輸入品を差別する目的で国内の租税制度を利用することを禁じている。
ブラジル政府の税制優遇政策がWTOに協議されるのは、今回が初めてではない。ただ、従来説明を求められた対象は特定の分野だった。例えば自動車向けのIPI減税は、既に先進国から批判の対象になっていた。
だが今回は、世界の3大市場が初めて、ブラジルの振興策全体に対して、「差別的と見受けられる」要素を持った大規模な産業政策の一貫とみなすことができると警告を発したのである。
ただし現段階ではWTOにおいてブラジルを相手取りパネルを設置したわけではない。この提訴は貿易相手国に対する質疑の持ち込みであり、投資政策に関する問題を扱うWTO委員会に提出される事になっている。
EU関係者によると、特定の業界を限定せず広範囲にわたる政策の説明をブラジルに求めるという判断は、むしろ、今後数か月はブラジルに対して息つく間も与えず圧力を強める戦略に沿ったものとしている。
先進国グループが提出した文書では、「間接税の課徴でブラジルが導入した特定の対応は、輸入品に対して差別的な対応と受け止めてしかるべきものだ」と指摘。
これらの国々は、そうした例として種々のインセンティブを挙げ、さらに、ブラジル政府の公約と異なり一時的な対応になっていないと警告。その一例として、国産部品を使用する自動車メーカーに対してIPIの課徴率を引き下げる措置を挙げた。
先進国グループはその上、デジタル製品に対する「差別」についても言及。通信機器と半導体製品と、これらの業界にも国内産業優遇の対象になっており、同様に「差別」と呼ぶことができる状態だ指摘。 ブラジル政府に送付された文書の中で米国とEU、日本は、国家電気通信庁(Anatel)が実施するブロードバンドの入札規定についても、国産機器を使用する企業を優遇することから国際規則に照らして「整合性」に疑問があると指摘した。
だが、先進国の批判はこれに止まらない。先進国政府は、4月2日から肥料工業に対してブラジル政府が導入した機械設備の調達に関する減税措置についても、どのように国際規則の枠内であると正当化できるのか、ブラジル政府に説明を求めている。
つまるところ、先進国は、自動車に対しIPIを削減する政策が国際規定にどう即しているのかの説明をブラジルに要求している。
背景
ブラジルを告発する文書で、これらの国々がブラジルに対して今後も説明を求めていくことが明記されている。「今回の提訴でEUと米国、日本が抱く懸念について徹底的な対応がなされたと受け止めるべきではない」と指摘。欧州企業や米国企業はブラジルに進出して数10年を経ており、結果として国産品を利用しているため、これらの優遇政策がまさに欧米企業に益するものだと、ブラジル政府はことあるごとに主張してきた。
だが、こうした主張は彼らを納得させていない。そして、 先進国によるブラジルへの圧力は、単なる偶然からではない。 ワシントンとブリュッセル、東京は、保護貿易主義的なバイアスのかかった産業政策が、とりわけ世界で唯一成長しているエマージング諸国に拡大していくことを阻止するのが今回の提訴の狙いなのだ。(2013年4月29日付けエスタード紙)