スエリー・カルダス
政府経済スタッフの顔ぶれが矛盾していないかとのジャーナリストの質問に対し、ジウマ・ロウセフ大統領は、「我が政府においては、中央銀行の外にインフレと金利についてコメントする権限を与えられた者はない。財務大臣は公債と政府財政に関してコメントする」と応じた。2012年12月28日に大統領府執務室で催された朝食会のことで、つまり、わずか4か月前のことだ。この発言を信用した人などおらず、大統領の発言は徒労に終わった。
15日前にサンパウロ市内で行われた実業界を前にした講演で、ギド・マンテガ財務大臣は、金利に対して言及し、ブラジル経済基本金利(Selic)の利上げが現実味を帯びてきたと認めた。そして16日、通貨政策委員会(Copom)が会合で金利を判断する前日、ジウマ大統領自身が、その判断が下される前にこの問題を持ち出し、利上げの水準にまで踏み込んで言及した。曰く、「ごくわずかな水準にとどめることは可能だろう」。市場では、これまで0.5パーセントポイントとしていた利上げ幅の予想を、0.25パーセントポイントに引き下げた。そして、政府がCopomの判断に介入することに依然として懐疑的だった人たちの心証は、確信に変わったのだ。
「通貨の購買力の安定を図り、堅牢かつ効率的な金融システムを維持するため」と中銀がサイト上で強調する目的に沿って通貨当局は活動すべきなのであって、投機家との日常的な対決に敗北を喫してばかりで中銀が本分を尽くすのを妨げる政治の介入に屈するべきではない。不適切な発言は、中銀の目的にとってだけでなく、政府、そして大統領自身にも害を及ぼす。その例を示そうか?
3月末に南アフリカで開催されたBRICSの協議において、ジウマ大統領は、経済成長を犠牲にするインフレ対策には反対するとコメントした。この発言はすぐさま市場に反響を巻き起こし、先物市場の金利が低下した。これに苛立った大統領は、一連の市場の混乱を、市場関係者が自身の発言を曲解したのだとして彼らの責任になすりつけた。もし大統領が沈黙していたなら、何も起きなかったことだろうし、市場もまた、ボラティリティーや不安定さにつながるような要因を見いだすことはなかっただろう。
中銀に対する独立性が法律で保証されている国では、一般的に、政府においても、社会においても、市場においても、金利とインフレのコントロールが中銀だけに任されていると理解している。そして誰も、それを疑問視しない。米国のバラク・オバマ大統領であれ、イギリスのデイビッド・キャメロン首相であれ、ジウマ大統領と閣僚がやったように金利に関して示唆したりはしない。ブラジルにおいては、中銀の独立性は折衷的に運用されており、FHC政権とルーラ政権では独立性が尊重されてジウマ政権では尊重されていないのだが、それが法律で規定されているわけでもなし、ブラジリアに集う人々の胸先三寸なのだ。
だが、中銀の在り方と一連の問題を改善すると見られる希望も見え始めている。表面上はジウマ大統領の承認を得ていないが、上院経済委員会のリンドバーグ・ファリアス(PT:労働者党=リオデジャネイロ州選出)座長が、エスタード通信に対して中銀の独立性に関して議題に上げ、票決することを明らかにした。きっかけはフランシスコ・ドルネレス上院議員(PP:進歩党=リオデジャネイロ州選出)が提出した法案なのだが、インフレターゲットを設定する役割を国家通貨審議会(CMN)に与え、その目標を達成するための政策を策定し実行する独立性を中銀に対して保証するというもの。このために、中銀の8人の理事に対して6年の在任期間を保証し、その在任期間中は、法律が定める深刻な理由があり、かつ上院の承認を得た場合にのみ大統領が罷免できるようにする。
正当と認められないような罷免から守られることで、中銀理事は独立性と自立性、自由が保証され、大統領と閣僚、行政府の人間の意見あるいは希望に反してでも、報復を恐れることなく判断を下すことが可能になる。インフレへの対策は、時として、政治家が嫌うような、しかし不可欠な、大衆受けしない判断が必要なのだ。
ドルネレス上院議員の法案は、審議を経て承認の後、2015年から、中銀に対して施行されることになるだろう。そのため次期大統領は、現在の理事の一部または全員を対象に人事を行うことができる。だが、彼らの任期が6年のため、その後継者となる大統領は2年にわたり、前政権から引き継いだ全理事と、共存することになる。任期末が重なることはよくない。FHC政権末期に中銀に関する法案で示されたような、8人の理事の中で交代していくというものの方が合理的に思える。(2013年4月21日付けエスタード紙)
スエリー・カルダス ジャーナリスト、リオデジャネイロ・カトリック大学(PUC-Rio)教授。