ドーハ・ラウンドが紛糾したこの期間、ブラジルは、わずかにイスラエルとパレスチナ、エジプトと自由貿易協定を結んだだけであり、アナリストは、ジウマ政権が混乱に陥る可能性があると分析。
イスラエルとパレスチナ、エジプト。これら3か国の内、施行されたのはイスラエルのみである。これが、メルコスル加盟国となった1991年以降、ブラジルがものにした自由貿易協定の成果である。この20年間世界では、爆発的な勢いで2国間協定と地域協定が締結されてきた。通商政策アナリストは、この数字について、ブラジルが後れをとったことを示すものだと指摘する。
先週、米国と欧州連合(EU)が世界最大規模の自由貿易圏の形成に向け多交渉を発表したことで、国内経済の規模と複雑さから慎重な姿勢を示してきたブラジル政府に対し、圧力が強まっている。
全国工業連合(CNI)国債渉外部のソラヤ・ロザル部会長は、「この期間、南米地域を含め、世界のありようが大きく変わった。ブラジルは、巨大な生産チェーンから、締め出されようとしている」と言う。世界貿易機関(WTO)が編纂したデータによると、2013年1月10日までの時点で、2国間あるいは地域間の自由貿易協定は543件ある(財とサービスを個別に計測)。この内、354件が既に発効しており、しかも、少なくとも半数が、2003年以後に締結された。
このような2国間条約の爆発的な拡大は、とりわけ農業分野で世界貿易の障壁を撤廃しようとした、WTOのドーハ・ラウンドが失敗した結果だ。セルジオ・アマラル元開発・産業・貿易大臣は、「我々は、ドーハが地方レベルのプロセスへと置き換えられているのを、ただ眺めているのだ。そして、もし地域化に進むのであれば、ここではブラジルはわずかな協定しか締結していない」と言う。
米国の場合、現時点で14の自由貿易協定を締結、施行しており、2つの協定が協商中である。この2つは、EUとの自由貿易協定、もう1つは、中国を除いた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)だ。EUも同じく32件の協定が施行されており、さらには、各国が恐れる中国とも、既に15件の条約に署名済みだ。
近隣諸国では南アメリカでは、このような協定が急激に増加している。CNIによると、ペルーとコロンビアがチリとメキシコが進んだ道を踏襲しており、それぞれ、米国とEUを含め、12件と11件の自由貿易協定を締結している。チリは更に多く21か国に対して市場を開放、メキシコは13か国と協定に署名している。
アナリストらは、アンデス諸国がこうした市場開放の恩恵を受けようとしているという。国際通貨基金(IMF)の試算によると、2012年チリとペルー、コロンビアの経済は、それぞれ、5%、6%、4.3%の成長を記録した。一方、ブラジルの国内総生産(GDP)は、1%と見られる。
政府関係者は、これらアンデス諸国について、経済の規模が大きく複雑なブラジルとは、様相が大きく異なる、と主張する。チリとペルー、コロンビアは、ごく少品目のコモディティー輸出に大きく依存しており、先進的な産業もなく、このため、合意締結への敷居が低い。
この政府関係者は、更に、「2国間協定でブラジルのような特徴を持つ国の問題が全て解決するわけではない。多国間協定という選択権こそより好ましい。というのも、そこが、農業の助成に関して議論できる唯一の場所だからだ」とコメント。2国間条約に対するブラジルの取り組みに熱心さが欠ける理由の1つは、まさに、WTOのドーハ・ラウンドに集中して取り組んできたからだった。
2国間交渉をセカンド・プランと位置付けたブラジルが締結したのは、イスラエルとパレスチナ、エジプトとの協定、インドと南アフリカとの特恵条約のみである。その上、議論が百出した取り組みとして、ベネズエラをメルコスルに加盟させた。ベネズエラの市場の開放は、ブラジルの産業部門にとって関心のあるものだが、それが完全に実現するのは2018年だ。
ルーベンス・リクペロ元財務大臣は、工業部門の競争力が失われているためにブラジルは、国際交渉を推進するだけの条件を備えていないと指摘する。「我が国は、競争力不足という絶望の淵に沈んで、身動きが取れない。回復には数年を要するだろう」と言う。問題は、その間も世界が歩みを止めないことだ。(2013年2月17日付エスタード紙)