ブラジルとドイツが、労働基準を共同で制定することで合意した。ドイツ労使契約モデルは労使間の直接交渉の幅が広く、ブラジル政府はドイツを基準に策定する方向。
ブラジル政府とドイツ政府は、労働契約モデルを共同で策定することで合意した。ABC地区金属労組のセルジオ・ノブレ委員長が明らかにした。同委員長は9月末、政府と労組の代表からなる訪問団に参加し、ドイツを訪れていた。
大 統領府は、ドイツにおける労使関係のモデルを、ブラジルに導入可能か検討している。このモデルにより、企業と労働者は統合労働法(CLT)のグレーゾーン で合意することが可能となり、1943年当時のゼツリオ・バルガス大統領により制定された厳格な規定のCLTに従う必要がなくなる。
訪問 団は、ドイツ企業が採用している規定をそのままブラジルに適用することができないが、調整の上適用することは可能、という結論を下した。 この調整作業が、両国の政府と組合、財界の3つのレイヤーの代表から組織される作業部会の目的となる。 ドイツは、この種の協力関係を日本とのみ構築している。
大統領府官房室における検討作業で提案を行ったノブレ委員長は、「ブラジルは、憲 法上も経済上も、労使関係を近代化させる必要がある潮時に来た」とコメント。 同委員長によると、連邦政府は、作業部会における労組代表者による組織、企業内労働組合委員会(CSE)の設立に理解を示し、奨励しているという。
ノブレ委員長のもう1つの提案は、その他の中央労組と共同で提出されたものであるが、不況時に労働市場を支援するための、ファンドの設立である。
「ドイツでは2008年から2009年の国際金融危機に伴う最悪の事態を乗り切るために救急ファンドが実施され、それ以来、輸出競争力を失わずに乗り切っている」とノブレ委員長。
同委員長とその他の中央労組が提案するファンドは、雇用者が被雇用者を不当解雇した場合などに支払われる勤続年限保障基金(FGTS)の罰金の内10%を原資に充てるというもの。
労働時間の短縮。ノブレ委員長によると、この基金は、経済危機を乗り越えるために労使が時短で合意した場合の手取りの減少により発生するコスト補填のため利用される。
「経済危機の初期段階のわずか15日間に限定し、従業員を大量に解雇する代わりに、当該企業の労組代表者らとの合意があれば、時短が適用された労働時間に相当する賃金のみを支払い、基金から、本給の60%を上限に不足分を支援し、また、研修なども実施する」という。
組合側の主張は、労働者支援基金(FAT)から年間230億レアルを費やす失業保険という政府の考えを改めること。 ノブレ委員長は、新しいファンドは「失業保険」のように機能し、雇用削減の代替政策として機能すると説明。
ABC金属労組が提案するCSEは、ABCパウリスタ地区の自動車メーカー内にのみ存在し、交渉の継続性と労使の合意の合法化に責任を負う。
CSEが経済危機下においてこれを緊急に克服するための新たにファンドに加盟する企業との合意に責任をもつことになる。
このような一連の改革についてジウマ政権は肯定的な認識を示すものの、ノブレ委員長は、「労働市場における従業員の離職率のドラスチックな低下があった場合にのみ前進」すると忠告した。
「ドイツでは、労組代表が解雇による人員の入れ替えを回避している。 ブラジル企業においても、労組が代表を置く場合は離職率が低い。業界ごとに個別に、容認できる離職率の水準について見極め、より進んだ企業に対しては恩典を与え、離職率の高い企業に対しては処罰するよう行っていく必要がある」とコメントした。(2012年11月12日付けエスタード紙)