ジウマ大統領がFHC元大統領の論説に反論
「遺恨」で歴史を「改竄」しようとしていると反論
ジウマ・ロウセフ大統領が3日、フェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ(FHC)元大統領が寄稿して2日付エスタード紙に掲載されたコラム、「頭の痛い遺産」に対して反論した。コラムの中で元大統領は、彼の後を継いだルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ前大統領に関して、メンサロン(買収工作費疑惑)によって「モラルハザード」を犯したと評した。
ジウマ大統領の公式声明は、発表前にルーラ前大統領に大意が説明された。ジウマ大統領はこの中で、「国際通貨基金(IMF)の介入を受ける、あるいは広域停電の脅威にさらされている国」ではない、「恵まれた遺産」を相続したとコメント、野党のFHC元大統領が政権を担当した当時にはIMFへの返済が残っており、同政権下で節電を余儀なくされたことに言及した。
大統領は、過去10年にこの国が発展したと認識できないというFHC元大統領の主張に対し、「歴史を改竄しようとするささやかな試み」と厳しい口調で反論。さらに、「過去は、対立的視点、そこから学ぶべきもの、批判の視点として生かすべきであり、遺恨を晴らすことに利用すべきではない」とコメント。
その上で、「ルーラは、政治家として1つの見本」であり、「利益のために憲法を改正しようと堕落することがなかった民主主義者である」と、1998年のFHC元大統領の再選を認める憲法改正を承認したことに言及した。
協調活動
今回のジウマ大統領の反論は、ルーラ前大統領との協調活動の1部である。FHC元大統領のコラムが伝えられた際、ルーラ前大統領は、下品な言葉で罵った。「ワシこそ、彼のいまわしい遺産相続で尻に火をつけられた」と、ルーラ前大統領はコメント。
ルーラ前大統領はジウマ大統領に対して反論を求めたわけではないが、3日朝にはその概要を、大統領府執務室のジルベルト・カルバーリョ事務局長から電話で伝えられ、手厳しい内容の本文についても承諾した。
大統領府執務室の関係者によると、大統領の声明は、両者が協調していることを明確にするため、同じ立場に軸足を置いていることに言及した。ルーラ前大統領とジウマ大統領を更にいらだたせたのは、FHC元大統領が、メンサロン疑惑を引き合いに出して、政府の「モラルハザード」と称したこと、「8閣僚が政権発足後1年を待たずして汚職容疑により」辞任したことで労働者党(PT)には政権担当能力がないと記したことである。
大統領府内部では、FHC元大統領のこのような動きについて、メンサロン疑惑をルーラ前大統領とPTに結び付けようとうする選挙戦略と位置付けている。
その目的は、サンパウロ市長選にジョゼー・セーラ候補を擁立しながら支持率が伸び悩んでいるブラジル民主社会党(PSDB)を支援することとされる。セーラ候補はPTのフェルナンド・アダジ候補と並んで、統計上は2位につけている。
コラムが2日に掲載されるまで、FHC元大統領とジウマ大統領の関係は極めて良好だった。FHC元大統領は5月、真実追及委員会(1946年-1988年の間にブラジルで犯された人権侵害を取り調べる委員会)設置に当たり、ジウマ大統領の招待で大統領府を訪問している。
この式典では、ルーラ前大統領も同席していた。2011年前1月には、FHC元大統領は米国のバラク・オバマ大統領との午餐会に列席している。同様に昨年6月には、ジウマ大統領は80際の誕生日を迎えたFHC元大統領にバースデーカードを送付し、「革新的な学者」、「熟練の政治家」、「ハイパーインフレーションのからの脱出のための厳しい計画を立案した設計のマイスター」と称賛していた。このバースデーカードは、PT内部に妬みを生んだとされる。
昨年末にもジウマ大統領は、アルボラーダ宮で催され、元大統領も関係するグループ、ザ・エルダースの晩餐会にFHC元大統領を招待した。最近では、ルーラ前大統領がやっていたように、FHC元大統領がジウマ政権を擁護することもあった。
しかしながら、2日に掲載されたコラムにジウマ大統領が目を通して以降、大統領は気持ちを入れ替えた。政府に対しモラルハザードと批判したのに加えて、FHC元大統領は、政策効率の悪さも指摘した。ジウマ大統領は前大統領に即日返答する意向だったが、アドバイスを受けて、より大きな反響が期待できる月曜にするよう態度を改めた。
ジウマ大統領は遠慮がちにFHC元大統領に対して、「超えてはならない一線を越えた」とコメント。この返信では大統領は、「真相というものは、適切なあるべき場所に配置しなおすべきだ」と強調。ただし、メンサロンには一切、文面では触れなかった。
FHC元大統領のコラムの2つの主張は、ジウマ大統領を個人的に攻撃するものでもあった。先ず、FCHが「悪徳を隠蔽し、国家の将来に対する脆弱な礎に危害をもたらす行政の遺産は鉛のように重くのしかかっている」とコメントしたこと。さらにその前にも、前大統領は、「エネルギー政策の方向感覚の喪失」を批判。ジウマ大統領はかつて鉱山動力大臣を務め、常に業界を、直接指揮してきた立場にある。(2012年9月4日付エスタード紙)