一部の州が輸入品に対して税制優遇措置を認めたために国内で無数の工場が閉鎖され雇用が国外に移転する結果をもたらした、いわゆる港湾危機の終息に向けて、実業家と労働者、政府、そして野党まで身を乗り出しての大騒ぎになった。ところがその後、財界と政界、法曹界を揺るがすような別の話題が、それも極めて短時間のうちに登場するとはだれも予想していなかった。
産業振興計画としてICMSを利用した減税措置を実施することに関して、連邦最高裁判所(STF)がレイシオ・デシデンダイ(法的拘束力のある判例)を公示すると判断したことは、このインターネット時代には光の速さで、斜陽のブラジルに新たな1撃を加える可能性がある。もともと輸出と国内市場に対する交易エリアとして立ち上げられたアマゾナス州が、この判例の採択に賛意を示したことは、最初の大きな衝撃だった。連邦政府によるインセンティブを伝統的に垂れ流してきた対象であり、ブラジル国内の税制優遇政策システムにおける最も古典的な歪みとして、マナウス・フリーゾーンは成立からほどなく、連邦政府と州政府による恒久的な助成保証をベースに、国内市場における販売拠点へと変貌した。
生産拠点の進出を狙う企業を自州に誘致した上で生産品を他州に販売することを目的として、多くの州政府が州税をベースにした税制優遇政策を導入したが、これは、国家財政政策審議会(Confaz)では全会一致による事前の合意が必要という、フロイトすら説明不能な理由が原因で、その手続きを経ないものだった。サンパウロ州は常にこの種のインセンティブで被害者の側にいると受け止めており、種々の異議を申し立てるだけでなく、見境なく、自社工場を建設するために資本を投下して進出先の州政府により保証された権利を享受している企業を訴えている。ここまでは、特定のオペレーションあるいは特定の企業に対して法的な混乱の影響を与えるだけにとどまっていた。
しかしながら、パラー州政府による法律を違憲と判断して以降、STFは、同様のその他のいかなる下級審でも判例として適用が義務付けられる、レイシオ・デシデンダイを公布する判断を下した。この判断に伴う経済的な影響は、余りにも悲惨だ。つまり、税制優遇政策を自社ビジネスの利益率に対する支援と見なして信頼を置いて生産部門に投資をしてきた企業は、もはや、インセンティブの恩恵を受けることが停止されるだけでなく、更に悪いことに、自社の取引に関連して受け取ったり適用されたりして恩恵を受けた資金を返済する必要がある。一部の州では、この助成措置を30年以上にわたって実施してきた。
港湾戦争は、税制優遇政策のひずみがある国の経済にとって極めて有害だということを明らかにした。しかしながら、港湾戦争におけるヒールの主役になったサンタ・カタリーナ州のケースは、上院の喚問において元州知事のルイス・エンリッケ上院議員が種々の理由と確固たる主張を展開したように、ある地域の経済と社会の発展を後押しする目的をもって生産部門への投資と技術革新、労働力の質の向上を促進するには、構造的かつインテレクチュアルな活動が重要だということを、模範的な形で示した。
米国では、シェールガス基地に新規クラッカーを導入するというシェルの判断に関して、各地の州政府がプロジェクトの受け入れを巡って争った。アメリカ化学協議会の最新の研究によると、プロジェクト争奪戦で勝利したペンシルベニア州は、80億ドルと推定される投資を受け入れ、優れた技術により高い報酬を受ける1万7,000人以上の雇用を創出する。これは、岩塩層下(プレソルト)のガス資源開発においてブラジル社会が受ける恩恵という観点から、ブラジルも見習うべき1例だ。
したがって、各州政府が州内の住民に恩恵を与えるプロジェクトに、これらの手段を利用することの重要性と適切性に関しては、疑問を挟む余地はない。この法律は再検討し近代化するべきだが、それは訴訟、そしてレイシオ・デシデンダイを通じて実施するのではなく、むしろ、人々によって選出された代表者による開かれた議論に基づいた法案を通じて行われるべきだ。
もし判例の公示を取りやめ立法府に対してこの問題の規模を任せるならば、STFは、我が国の民主的制度の改善と法的安定性の強化に大きく寄与することになるだろう。(2012年6月12日付エスタード紙 フェルナンド・フィゲイレード氏)