「ヨーロッパのリーダーたちは何をすべきかを知らないのではない。彼らが知らないのは、なすべきことをやった後にどうやって再選されるのかということだ」。 欧州連合財務相理事会の現議長(ユンカー氏)の言葉は、国内の政治的コンテキストにおけるプライオリティーと共同対策の必要性におけるプライオリティー、つまりヨーロッパ内における調整が対立難航していることに対する自虐的な皮肉のようにも読み取れる。
現実の世界では、選挙公約のレトリックでお茶を濁せるわけではなく、本質的な問題に対する「ソリューション」は時間をかけてほつれをほどく必要がある。したがって、漸進主義的な視点が要求される。 ところが、そこかしこに、逆説的に見えるのであるが、漸進主義の仲にも緊急性が存在する。 「必要なことはやる」という意図を繰り返し表明するような修辞的な実践だけにとどまらず、信頼できるコミットメントから生まれた最低限の一貫性を保ち、何らかの実現の可能性が知覚できるような漸進的な戦略が、必要である。
ブラジルの漸進主義において緊急性が高いと思われるものに簡単にコメントする前に、ヨーロッパの漸進主義の中で緊急性が高いと思われるものに対して短くコメントする。
サンタ・マリオはかつて、欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁が昨年のクリスマスイブに、12月末と2月末の2回のオペレーションを通じて域内銀行に対して年1%の金利で、限度枠を設けない償還期限3年の融資をECBが提供すると発表した際の、国際金融協会の報告書のタイトルだった。
何百という銀行が名乗りを上げ、その2つのオペレーションで1兆0,200億ユーロが融資され、2か月間でBCEが供給した資金は総額2兆ユーロから3兆ユーロに拡大した。この2回のオペレーションは、一定の期間にわたって市場を落ち着かせたが、一方で、BCEが常に、「必要であれば」何でも実施する準備があるとの観測を強めた。
ドラギ総裁は恒常的に、ヨーロッパの金融システムに通貨の流動性を保証することに責任の一端を負うものだとECBの活動を明確に示していたが、それには、EU域内各国の政府が「新たな財政協定」に加えてそれぞれの国の事情に応じた改革に合意することが不可欠だった。
「連続性は重要」と、ドラギ総裁は改めて主張する。 「短期的なリストラと(あるいは)信頼の維持は、長期的な関係の在り方に依存する」。 ECB活動が他の分野の活動によって補完される必要があるというのは、正しい。そしてECB総裁は、この集団行動の問題の解決が、依然として緩やかであるが、適切に、緊急に取り組んでいくことを、強く求める。
現在、2012年6月、ヨーロッパの「漸進主義の緊急性」の最大の課題は、銀行の収支と独立国の国債の収支との間で行き来する中で積もり積もった問題の因果関係を、信頼できる方法で断ち切ることである。 なぜ重要な緊急性なのか? なぜなら、困難にあえぐ銀行の問題を扱えば、「何かが発生すると考えられる以上の速さで、事態が進んでしまうから」だ。 しかも大手銀行の問題で、ある政府が単独で解決できる財政的余地は存在しない。そのためには協調的なソリューションが、それも迅速に、必要となる。
では我々はどうだろう? ブラジルでは銀行の危機どころか公的債務の危機も同様に発生しておらず、共に支援が強化されている。 しかしながら、ある別の緊急性が、それも無視できないものが、ヨーロッパの状況を前にして、また一般的にも、ブラジルの漸進主義の重要な要素として存在する。その緊急性とは、ブラジルの生産性と競争力を拡大しつつ、官民の投資を支える方策を急速に立ち上げ、それを保証することである。
ブラジル国内の公論では、基本的な優先課題について、ほぼ共通認識というものを語らない方向へと収斂している。その基本的課題とは、ブラジルが、2011年と2012年の平均である2.5%あるいはそれをやや上回る水準で持続的に成長するため、投資を拡大させることと、資本と労働の生産性を高めることである。
ブラジル国内外で常にそうであるように、変化は漸進的であることがわかる。 しかしながらこの時点で、投資に優先順位を与えてみると、次のようなケースで、少なくとも、それも強力に加速させる必要の緊急性について、新たな認識が生まれるはずだ。つまり、インフラの様々な分野(空港、高速道路、港湾、エネルギー)において民間部門に事業認可を与えるプロセス、 2008年以降中断している石油とガスの開発鉱区の入札プロセスの再開、「国産化比率に関する政策」が(官民の)投資に関するスケジュールに遅れを生じさせる可能性がないかを冷静かつ客観的な方法で確認すること、国内外の投資家に対して(漸進主義的戦略と一貫性を保ちつつ短期的に実施するもので、かつ、無数の特定の要求に対する単なる回答ではなく何ができるかに焦点を当てて)ブラジルコストと呼ばれるものを引き下げる必要性に対して絶対的なプライオリティーを置くことを確認すること、PACと称される無数の工事の効率的な実施に対する本当の意味でのプライオリティーを定義すること、その他の支出に関連して公共投資に参画するのを維持するための方法を模索することである。 これらはジルマ・ロウセフ大統領が任期を通じて判断を下し、実施すべきことの単なる一例である。大統領は既に、このような緊急性に十分に気づいていることがわかる。 そして、必要性のあることをやるだけの気概を持っている。 大統領は、(少し前の無責任なある野党とは異なり)国益に反することに専心する人間などいないこと、あるいは自国政府が敗北することを望む人間などいないことを知っている。 任期中に国内総生産(GDP)に対する投資比率を22%から23%に引き上げるという「目標」について大統領は、これが単なる希望を言い表したものではないならば、上に記したような種々の分野の問題解決を進展させるために、国会の強力な支持基盤と公共セクターの無数の協調的組合主義を利用して、問題を乗り越えなければならないと認識している。(2012年6月10日付エスタード紙 ペドロ・S・マラン氏)