中央銀行(BC)のアレシャンドレ・トンビーニ総裁は5日、「消費をケアしなければならない。投資が消費のきっかけになる」と発言した。これこそ現在議論されている、因果のジレンマだ。つまり、消費が投資を活性化させるための前提条件なのか、投資が消費を加速させるための前提条件なのか?ということ。経済成長を決定づけるのは、この2つのどちらだろうか? ただし、常識的に考えて、この2つがなければ経済を成長させる燃料など存在しない。
2008年の国際金融危機に際してルーラ政権は、消費への対応を図り、投資は放置した。それは当時、経済危機の波及を退け成長に向けた回復するための、より迅速かつ簡単な方法だった。2008年第3四半期から第4四半期にかけてGDPが3.4%落ち込んだことに政府は驚き、そして対応を進める決断を下した。ルーラは毎日、国民に対して、ローンを拡大することと消費すること、買い物を止めないことをアドバイスした。しかしながら、経済危機は悪化し、2009年にGDPは停滞、0.3%のマイナス成長を記録した。もう1つの巨大な懸念は、翌年に大統領選が実施されることだった。そこで政府は強硬策に打って出る。つまり、官営銀行に金をばらまき、クレジットを後押しし、自動車と家電を対象に減税を実施したが、つまりは、多くの公金を消費につぎ込んだのだ。これは功を奏した。2010年のGDPは7.5%の成長を記録、ルーラの推した候補が選挙に勝利した。
では、投資は?公共工事は、汚職の波及ペースとは逆に緩やかものにとどまった。また、国際金融危機の悪化に対する予防措置のためか、あるいは国内経済がどのように推移するのか不透明だったり、インフラ事業の関連法の法整備が不明確だったりといった理由から、民間の投資は後退した。それでも、2011年には雇用と給与は良好に推移したが、工業生産は大きく後退、消費も落ち込み、信用は縮小して債務不履行が拡大した。消費の津波は次第にソフトなリズムで波打つようになり、GDPは、わずか2.7%の成長にとどまった。2012年は状況が更に悪化しており、3月までにGDPは、農業が7.3%のマイナス成長だったことと国外の悲観的観測に引きずられ、0.2%の成長にとどまるなど総崩れで、GDPに対する投資比率は、19.5%から18.7%に後退した。
現在、ブラジル人はジレンマの下で暮らしている。つまり、消費はインセンティブにより推し進められたが疲弊しており、インセンティブであるだけに短期にしか過ぎない。そして投資は、政府が対策を放置したために低迷、汚職の巣窟だった運輸省が主導してきた公共投資も縮小した。民間部門は、先行きの不透明感と法律の不備という問題を、主張し続けている。そうした中、朗報は、景気が縮小するという状況の中から届けられた。インフレは予想された以上に低水準となり、さらなる利下げの余地を生み出した。しかし、現状の中で、より低水準の金利が、経済成長に向かう軌道に復帰するのか、それがいつになるかは、その時にならなければわからない。
インフレ以外の兆候は、悲観的だ。選挙イヤーだった2010年と2012年の1―5月を比較した場合、公共投資は177億レアルから143億レアルに落ち込んだ。送電事業の入札への関心は低い。Bovespaは連日の下げ。5月は、株式オペレーションと固定利回りファンドから50億5,000万ドルの投資が、国外に引き揚げた。IBGEは毎月のように、工業生産の落ち込みを発表している。解雇を回避するため、自動車工業は、集団休暇と期間工の自宅待機を実施、ゼネラルモーターズは既に、自主退職計画を発表済み。機械・設備の売上(投資のバロメーター)は、4月、3月と比較して16.8%落ち込んだ。ざっと見てもこうだ。既に、2012年の経済成長が2%を下回ると予想するアナリストがいる。
投資が消費のきっかけになると、トンビーニ総裁が発言するのには道理がある。一般的に、そうなのだ。しかしブラジルの場合、中断することなく継続的な投資を維持することは、インフラのボトルネックの解消と、経済に対してよく練られた政府の計画、安定的な法規、業界監督庁の自治独立に、(しかも大きく)依存する。つまるところ、誰もが見える先人の遺したロザリオ(種々の決まりごと)に依存するのであって、政府ではない。(2012年6月10日付エスタード紙 スエリー・カルダス氏)