金利と為替、税負担。大統領は、成長の阻害要因としてこの3つを指摘した。まさにボトルネックの三本柱として解決されないままであり、そして、少なくともこの三本柱は、インフレターゲットと為替変動、プライマリーバランス黒字に影響を与えている。この三本柱は、2008年の国際金融危機の帰結として、ブラジルの課題と言われることがなくなり、過去に葬られていたものだ。
本コラムでは、この三本柱を取り上げ、連邦政府がこれから採用する政策に、附帯的な提案をしてみたい。
【金利】 金利への取り組みは、財政と成長という2つの分野の抑制要因を取り除くための基礎を形作る。Selicを利下げすると金利の財政的制約が取り除かれ、翌年の公共財政がバランスのとれたものになる余地を生む。公共部門における利払いは、3月までの過去12か月間で、2,370億レアル(GDPの5.64%)に達した。この資金はまさに浪費であり、社会福祉プログラムの整備とインフラの拡充、減税という、経済成長を促進させるための3つの戦線の強化に活用できたはずのものである。
文明的な金利の適用を官営銀行に指示するに当たって、その抑制要因は、消費者の購買力に課される制限と言われる部分から切り崩された。クレジットを利用する消費者は、高金利により返済が高額になることを余儀なくされている。自社商品の金利を引き下げるという官営銀行の活動は、民営銀行に対する強制/促進を図る別の対策によって補完すべきである。
銀行各社が利下げへの対応として銀行手数料の引き上げ、あるいはオペレーションの抱き合わせ販売で補完する道を模索していることから、消費者保護の観点からは、破壊的な銀行手数料を暴落させるための、手数料のリスト化が喫緊の補完策である。銀行は第1四半期、個人向けの手数料収入が42%(!)も拡大した。
政府が検討中のもう1つの対策は、口座と負債のポータビリティーに対する煩雑な規制手続きを撤廃して顧客が利害に応じて取引するのを容易にすることだ。
Selicの利下げに伴う財務省債券からの収益減と、銀行手数料の収益の落ち込みで、銀行は、銀行間でより競争力の高い融資商品を作り出してオファーを拡大するよう追い込まれる。
もう1つの提案は、中央銀行に対して銀行が納める法定準備預金を、それぞれの銀行が顧客に設定している金利に連動させて政策として利用すること。低い金利を設定している銀行には、より低い法定準備預金の比率を設定し、融資業務に利用可能な資金を拡大させる。
官営銀行による対応が始まったことで、既に、民営銀行では、個人と法人に対して可能な限り幅広い融資案件で低い金利を設定する方向へ、動き出している。私は、国際的により現実的と判断できる方向に銀行金利が集約されていくよう、道が開け始めたと信じる。
【為替】 経済危機からの脱出を図るため、先進諸国は2008年以来、10兆ドル(!)に相当する通貨を発行して自国通貨を値下がりさせてきた。これに伴って、通貨を発行していない国々の企業と比較して、自国企業の競争力を高めてきたわけだ。ユーロ圏のマネタリーベースはGDPの50%前後、新興国でも12%以上であるのに対して、ブラジルでは6%と、新興国の中では最も低い。これは少なくとも、12%に引き上げる必要がある。マネタリーベースの拡大は、効率的な形で、かつレアルの値下がりが負担になることなく、国内に本社を置く企業が奪われた競争力の1部を取り戻し、対外収支の均衡に貢献する。
現在1ドル=2レアルという国内の為替は、対外収支が均衡するには不十分だ。2003年から2007年にかけて、経常収支が黒字を記録していた時期、現在の価値に修正した相場でみると更に強いドル高にあった。グラフ1は、過去7年間の経常収支と為替相場の推移を示しており、その仕切り線は、対外収支が均衡する状況は1ドル=2.90レアルだと示す。その当時、国際競争は現在よりも激しくはなかった。したがって、対外収支の均衡が回復することが可能になるには、1ドル=3.00レアル以上の為替相場を期待するしかない。
【税負担(CT)】 これは、次の要因により強力な抑制要因となる。つまり、高い水準であること、強い逆累進性(高所得者ほど税負担率が軽くなる)があること、価格が肥大化すること、企業の競争力と大衆の購買力が低下することだ。
CTは2011年、2008年と同水準のGDP比34.1%に達する見込み。Selicが年利5%という新興国の平均水準に達した場合、金利は、税負担を3.3パーセントポイント引き下げる経済効果を発揮して、GDP比30.8%という2000年代初頭に達成していた水準まで低下する。税制改革は、もしそれが実施されればだが、連邦政府と州政府、市役所が税収拡大を競うために、税負担の引き下げにはつながらないだろう。しかし金利の支払いが削減されることで連邦政府には、減税を実施するための資金的な余裕を生じる。
【インフレーション】 先進国による大規模な通貨発行は、金利がほぼゼロ水準に低下こそすれ、インフレーションを引き起こさなかった。なぜなら価格の決定権を握っているのは、強い競争にさらされている企業がリンクしている国際市場の相場の方だからだ。この事実は、経済の物価水準を変更するためのCopomの活動を無意味なものにする。同じことが、この国のマネタリーベースを新興国の水準へ調整するための通貨発行に対しても言える。これまでのコラムで示したように、私は、2012年のインフレーションが4%未満に収まるという見方を、ここでも繰り返しておこう。
【展望】 政府の課題は、2012年に4.5%、2013年には5.5%、更に2014年に6.0%の経済成長を達成させることである。これは、現政権が平均で年間4.7%の成長を達成するための条件。この水準はまた、ルーラ政権が第1期と第2期でそれぞれ達成した、年間平均3.5%と4.6%という成長率を上回る。そして上記の抑制要因を取り除くことは、この目標の達成に不可欠だ。もし実現できればジルマ大統領は2014年に再選されるだろうが、それは、記録的な支持率の恩恵を受けている現状によるものではなく、マクロ経済の状況と社会情勢がベースになるはずだ。更にルーラ前大統領のように、有力な後継者を擁立し、所得の分配を伴う成長戦略を確固としたものにする可能性すら開ける。その成り行きを見守ろう。(2012年5月20日付エスタード紙 アミール・カイル)
