元中銀総裁、目標1ドル1,90レアルあるいはそれ以上は、動きから明らか
フェルナンド・ダンタス(リオデジャネイロ)
「政府は為替の変動幅制を採用している」と言うのは、エコノミスト兼コンサルタントで元中央銀行総裁のアフォンソ・セルソ・パストーレ氏だ。「最低1ドル=1,80レアルの線を目指していると思っていたが、今週の様子を見て思うに、少し上のレベルの1,90レアル、ひょっとしたら、さらにもう少しのレアル安すら狙おうという野望があるようだ」。金曜日、パストーレ氏がエスタード紙に語った。
コンサルタントとして本件について月曜日にレポートを発表する予定だが、彼は政府の為替介入政策に対する批判者の一人ではない。為替が長期にわたってバランスを失った状態になる可能性を捨て去ってはいけないと考えている。「あの場にいたら私もやるだろう。3カ月にもわたってバランスの取れた状態よりも為替が高くて、何もしないのが正しいという状況とは異なるのだ」。
高い為替のためにバランスを変えて長持ちさせるということなら、経済の生産性構造を変えようと考える必要がある、とパストーレ氏は続ける。しかし、長期間、つまり数年間のアンバランス、しかも産業に損害を与えるアンバランスがあるのでは、という疑いがあるので、注意したほうがいいとのこと。
しかし、エコノミストとして、問題への最善の取り組み方に関しては反論を許さない。「投資の必要性は確かなのだから、保護主義か為替かどちらかを選ばなければならないなら、私は為替に介入するほうを選ぶ。為替は可逆的だからだ。だが、自動車の国産比率を高めよとか、何でもかんでも製品に課税するなどというお遊びをやったら、将来取り消すことのできない明らかな利害を作り出すことになり、それは経済にとってきわめて高いものにつく」。
彼にとってもう一つの問題は、為替介入政策を効果的に行うことが可能かどうかという問題だ。彼は可能と信じていて、それは、銀行がドル建てで行う外資の資金調達とドル売りポジションに対する税金と強制預託といった、2011年1月以来の一連の措置で、5年以内の資金流入を強力に妨げてきているからだ。
彼の説明によると、中銀が為替で積極的に活動すると、いわゆる「為替クーポン」が上がる傾向がある。為替クーポンはブラジル市場におけるドルの金利で、通常先物市場を巻き込んだ統合的オペレーションにおいて登場する。
中央銀行がブラジルに入って来るドルのフローよりも多く買いを入れると、為替クーポンは上がる傾向がある。これを技術的に説明しようとすると複雑だが、単純な考え方をすれば、中銀の介入によって米国の通貨がスポット市場で不足し、ドルの金利が上がるのである。
資本流入に制限のない市場では、外国人は、ゼロに近い金利で国際市場においてドルを融通し、ドル・レアル間の為替リスクを排除してくれるブラジルの為替クーポンに投資して、確実に利益の上がるオペレーションであると見ている。したがって、ドル高を起こそうとする中銀の介入は、為替クーポンへの資本フローを引き付けるので、新たに入って来る大量のドルによって無効化されるのである。「中央銀行は、リアクションを生むアクションを行いながら、霜を払いのけているのだ」とパストーレ氏は言う。
しかしながら、現在、資本をコントロールする措置によって、外貨フローが為替クーポンのオペレーションにおいて利益を出すことはできない。こうして、中央銀行のスポット市場におけるアクションは、そのパワーを保っているのである。
為替クーポンを求めるフローを締め出す以外の代替策があるとすれば、中銀がスポット市場と先物市場の両方で同時に動くことだろうと言う。技術的な理由により、そうすることでクーポンの上昇は阻止され、投機的フローを呼び込むこともなくなるだろう。しかし、パストーレ氏が言及するのは、中央銀行はおそらく、中銀に損失をもたらす可能性のある先物市場でのオペレーションの問題で、中銀役員たちに対して訴訟を起こされることを恐れているということだ。
J・サフラ投資銀行チーフエコノミストのカルロス・カヴァル氏は、パストーレ氏の分析に同意する。「レアルのレートは、豪ドルのレートと比較すれば極端に安いが、違いは、向こうは為替市場が自由なのに対し、こちらは資本コントロールがあるということだ」。
一方、JGPのチーフエコノミストで資金管理部門経営者のフェルナンド・ローシャ氏は、最近のレアル安の主な理由は、ブラジルが以前ほど良くないという認識による資本フローの減少だと考える。
パストーレ氏は、1ドル1,90レアル前後にとどまるなら、最近のレアル安で大きなインフレのリスクがあるとは見ていない。「為替1,90レアルを目指しているぞという目に見える合図をキャッチしても、それについて私は何の確証もないが、インフレのコントロールとは両立しない」。