不透明感が拡大している10月の大統領選挙並びに新興国の為替危機などの影響を受けて、海外投資家の対内直接投資並びに金融投資、本国への利益・配当金送金などを含む2018年8月の投資金の引上げ残高は、980億200万ドルに達している。
今年3月初めにミッシェル・テーメル大統領が与野党議員や国民の支持を無視してまで、実行を敢行しようとしていた年金・恩給改革は、リオ州の治安確保のための直接統治令発令中は憲法改正が不可能となり、憲法改正案(PEC)である年金・恩給に関する社会保障制度改革は、直接統治令が解除される今年末まで、国会での承認の先送りを余儀なくされた影響を受けた3月の投資金の引上げ残高104億7,200万ドルに次ぐ資金流出を記録している。
しかし今年7月の海外投資家に投資金流入残高は、47億4,700万ドルの黒字を記録、また昨年8月も投資金流出を記録していたものの、今年8月の半分以下であった。
10月の大統領選挙結果が明確になるまで、海外投資家による資金引上げは、継続するとTendencia Consultoria Integrada社エコノミストのシルヴィオ・カンポス・ネット氏は予想している。
海外投資家の投資金流出の30%は海外要因、70%は大統領選挙や財政問題など国内問題が要因であり、大統領選挙結果が判明するまで誰もリスクを負わないとゴールドマン・サックス銀行ラテンアメリカ地域担当チーフエコノミストのアルベルト・ラモス氏は説明している。
またヴォトランチン銀行チーフエコノミストのロベルト・パドヴァーニ氏は、今年の為替が50%以上下落しているアルゼンチン、また過去1カ月間で25%近く下落しているレアル通貨も海外投資家による資金引上げの大きな要因と指摘している。
今月26日に予定されている連邦準備制度理事会(FRB)による0.25%の金利引き上げ予想も新興国からの資金引上げ継続をNGO Corretora社エコノミストのSidney Nehme氏は予想している。(2018年9月6日付けエスタード紙)