中銀の統計によると、2017年末からの海外投資家による対内直接投資は、予想を大幅に下回る景気回復や不透明な10月の大統領選挙、米国の金融引き締め政策の影響などの要因で、減少傾向が鮮明になってきている。
2018年4月の過去12カ月間のインフレ指数を含めない名目対内直接投資は、GDP比3.03%に相当する617億300万ドルに留まり、昨年11月から減少傾向が継続してきている。
昨年10月の過去12カ月間の対内直接投資総額は、GDP比4.16%に相当する835億ドルを記録していたが、昨年11月にはGDP比3.96%の806億ドルに減少して2013年12月のGDP比2.82%以降では最低のGDP比を記録している。
JBS社共同経営者のジョエズレイ・バチスタ氏が盗聴したラヴァ・ジャット汚職問題関連テープ発覚によるテーメル大統領の進退問題が発生した時でも、また2016年~2017年の対内直接投資はGDP比4.0%を常に上回っていた。
今年4月の対内直接投資は、前年同月の55億6,600万ドルの半分以下の26億1,800万ドルに留まっているが、昨年の月間平均対内直接投資は60億ドル~70億ドルで推移していたと中銀企画戦略担当のフェルナンド・ロッシャ理事は説明している。
今年初め4か月間の対内直接投資は、141億3,400万ドルで前年同期の221億2700万ドルよりも79億9,300万ドル減少している一方で、本社からブラジル支店への投資は、72億2,000万ドルから62億3,100万ドルと9億8,900万ドルの減少に留まっている。
中銀では今年5月の対内直接投資を30億ドルと予想していたにも関わらず、5月22日までの対内直接投資の累計総額は、15億ドルに留まって30億ドルに達しない可能性が濃厚となっている。
連邦政府によるインフラ関連コンセッション入札や公社民営化が環境ライセンス取得や連邦会計検査院(TCU)の許可遅延問題で、海外投資家が対内直接投資に慎重になっているとBarral M Jorge Consultoria社のWelber Barralパートナーは説明している。
また投資コンサルタントでは、10月の大統領選挙の行方が非常に不透明であるために、フィンランド系企業による製紙・パルプ部門への投資先送りを推奨している。(2018年5月25日付けヴァロール紙)