昨日16日の中銀の通貨政策委員会(Copom)では、2016年10月の政策誘導金利(Selic)14.25%から連続12回に亘って切り下げられて6.5%まで減少していたSelic金利は、大半の金融市場関係者の0.25%の切下げ予想を覆す据置が決定した。
ブロードキャスト・プロジェクションによる55金融機関対象の調査によると、そのうち53金融機関は、通貨政策委員会による0.25%のSelic金利の引き下げを予想、僅かBank of America Merrill Lynch及びFlag Assetのみが据置を予想していた。
通貨政策委員会(Copom)での6.5%のSelic金利据置の外的要因として、ブラジルを含む米国の金融引締め政策による新興国通貨に対するドル高の為替、北朝鮮による米朝首脳会談中止の示唆、トランプ大統領によるイラン核合意離脱表明及び経済制裁再開、アルゼンチンペソ下落による国際通貨基金(IMF)への支援要請などが挙げられる。
Globo Newsによる5月8日の中銀のIlan Goldfajn総裁とのインタビューでは、コントロールされているインフレ並びに国内経済回復促進がSelic金利調整の大きな要因を占めるとコメントしていたにも関わらず、Selic金利は据え置替えたため、今後のSelic金利調整の信頼性を損ねる要因になるとMongeral Aegon Investimentos社投資担当ののパトリシア・ペレイラ氏はコメントしている。
今年3月末から昨日までのレアル通貨に対するドルの為替は11.0%上昇のR$3.6755に達して、遅かれ早かれインフレ上昇にインパクトを与える一方で、国内経済の回復が遅れているために、それ程のインパクトにはならないと多くのエコノミストは予想している。
レアル通貨に対するドル高の為替は、製造業部門の輸入材の価格上昇による一般消費者への価格転嫁によるインフレ圧力に繋がり、Selic金利調整の大きなファクターとなる。
今回の通貨政策委員会(Copom)での6.5%のSelic金利据置は、海外投資家によるブラジル国内の金融投資からの資金引上げの歯止めになる可能性に繋がるとFAAP大学経済学部のパウロ・ヅトッラ教授は指摘している。
世界各国のインフレ指数を差引いた実質金利比較では、アルゼンチンペソ急落に歯止め掛けられずに、今月8日に国際通貨基金(IMF)と300億ドルの信用枠設定を要請したアルゼンチンの金利は、14.29%と二桁に達する世界最高金利を記録している。
アルゼンチンの実質金利14.29%に次いで、トルコは8.38%、ロシア4.44%、メキシコ3.58%、インド2.94%、インドネシア2.92%、ブラジルは2.49%、南アフリカ1.45%、コロンビア1.08%、中国は0.92%となっている。(2018年5月17日付けエスタード紙)