大統領就任後2年が過ぎたアルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領は、米国の金利引き上げに伴って、一連の新興諸国同様に自国通貨切下げや先進国による投資引上げ等を余儀なくされて窮地に陥っている。
先週アルゼンチン中銀では、3回連続でのアルゼンチンペソの切下げによる8.0%下落を余儀なくされ、また政策誘導金利も27.25%から40.0%と大幅な金利引き上げを余儀なくされている。
5月4日にアルゼンチン中銀は、政策誘導金利の6.75%の引上げで今年のアルゼンチンの財政収支赤字目標を3.2%から2.7%への引下を発表した影響で、アルゼンチンペソは2.0%上昇、またアルゼンチンペソは、1ドル23ペソから21.82ペソに上昇している。
2017年12月にマクリ政権は、2018年のインフレ目標を経済回復を優先するために10.0%から15.0%に引き上げた影響で世界金融市場からの信用を無くしており、昨年のアルゼンチンのインフレは24.8%、今年は20%を上回ると金融市場関係者は予想している。
先週アルゼンチン政府は、外国人投資家によるキャピタルゲインに対する課税政策を発表、また引続き経常収支赤字の拡大などの要因で、アルゼンチンの金融市場のボラティリティは最高潮に達していた。
Goldman証券のラモス氏は、40%の政策誘導金利は経済成長を委縮させるが、金利を引き上げなければインフレコントロールの放棄を余儀なくされるとアルゼンチン政府の金利引き上げを支持している。
海外投資家は、ブラジルの貿易収支、財政再建政策、コントロールさせているインフレ指数などを理解しているために、海外投資家による投資引上げ等の影響は殆ど発生しないと財務省経済政策担当のFabio Kanczuk長官は憂慮していない。
仮に今年のアルゼンチンが景気後退してGDP伸び率がマイナス10.0%に達しても、ブラジルへの影響はGDP比マイナス0.05%に達しないとFabio Kanczuk長官は説明している。
アルゼンチンはブラジルの貿易相手国としては中国並びに米国に次いで3位。今年初め4か月間のアルゼンチン向け輸出は60億6,000万ドル、そのうち自動車輸出は31.0%を占めていた。一方輸入は18億6,800万ドルに留まっている。
アルゼンチンによる大幅に通貨切り下げ並びに40%に達する政策誘導金利で、今年のアルゼンチンのGDP伸び率は大幅な下方修正を迫られる上に、今年の大豆生産は、旱魃の影響で昨年よりも1,200万トン減少に相当する50億ドルの貿易黒字減少が見込まれてGDP伸び率の0.5%下方修正を余儀なくされる。
現在のインフレ指数を差引かない名目金利比較では、アルゼンチンは40.00%でトップ、続いてヴェネズエラ21.70%、ハイチ20.00%、アンゴラ並びにガーナ18.00%、ウクライナ17.00%、エジプト16.75%、モザンビーク16.50%、マラウイ16.00%、アフガニスタンは15.00%で10位、ブラジルは6.50%で51位となっている。(2018年5月5日付けエスタード紙)