ブラジル資本民間銀行トップのイタウー銀行並びに2位のブラデスコ銀行、公立銀行のブラジル銀行並びに連邦貯蓄金庫の2017年のクレジット総額は、マーケットシェアの78.51%に達し、一層の寡占化が進んで銀行金利が下がらない弊害に繋がっている。
中銀の通貨政策委員会(Copom)では、2016年10月の政策誘導金利(Selic)14.25%から連続12回に亘って切り下げ、今年3月の中銀のCopom委員会では、全会一致でSelic金利を6.75%から0.25%切下げて6.50%に決定して過去最低の金利を記録したにも関わらず、Selic金利引下げに伴う銀行金利の引下げに繋がっていない。
2008年9月のリーマンブラザーズ破綻に端を発した世界金融危機発生前年の2007年12月の4大銀行によるクレジット部門のマーケットシェアは54.68%であったにも関わらず、世界金融危機発生でM&Aによる 世界的な銀行再編がブラジルにも及んで、ブラジル国内の商業銀行数が大幅に減少したことも大手銀行の寡占化を促進している。
昨年末の4大銀行の総資産は全体の72.69%、預貯金総額は76.35%、ブラジル国内のクレジット市場における市場集中度指標の一つであるハーフィンダール・ハーシュマン・インデックス(Herfindahl-Hirschman Index, HHI)は、1.741と寡占化に分類される1.800に接近しており、2007年のHHI指数1.015から大幅に上昇している。
2014年の国際通貨基金の調査によると、ブラジル国内の商業銀行のマーケット寡占化はカナダ並びに日本、英国、フランス、スペインよりも低いとブラジル銀行協会連盟(Febraban )では指摘している。
中銀商業銀行監査部のパウロ・ソウザ取締役は、Selic金利の低下に伴って銀行スプレッド金利も低下しなければならないと指摘している。(2018年4月18日付けエスタード紙)