2016年~2017年のブラジル国内における外資系企業によるM&Aの平均投資額は、1億7,000万ドルに達しており、2012年~2013年の平均投資額8,210万ドル、2014年~2015年の平均投資額9,200万ドルをそれぞれ大幅に上回っている。
特に中国資本のインフラ整備部門によるM&A案件の投資額が非常に大きく、 過去2年間のState Grid Corp of China社によるCPFL Energia社への投資総額は、120億ドルを突破している。
また中国企業の過去2年間のブラジル国内のインフラ整備部門への平均投資額は、10億3,000万ドルに達している。また過去2年間のカナダ資本の1件当たりのM&A平均投資額は6億1,090万ドル、ノルウエーは、5億7,100万ドルを記録しているとコンサルタント会社Dealogic社の調査で判明している。
2017年の中国資本のブラジル国内のM&A投資総額は、106億6,000万ドルと2位のカナダの53億2,000万ドルを2倍以上を記録、3位にはノルウエーが44億9,000万ドル、4位には米国39億1,000万ドル、メキシコ16億1,000万ドル、アルゼンチン14億9,000万ドル、オランダ11億9,000万ドル、スペイン7億ドル、スイス並びにドイツは6億1,000万ドル、フランス5億8,000万ドル、イタリア5億7,000万ドル、イスラエル3億9,000万ドル、韓国は3億2,000万ドルで14位、日本は1億2,000万ドルで18位となっている。
2017年の外資系企業によるM&A投資総額は、336億ドルで2016年の365億ドルから30億ドル減少している。中銀の発表によると2017年の対内直接投資総額は、前年比12.0%増加の603億5,000万ドルを記録、トップは米国の111億ドル、2位はオランダで109億ドルを記録している。
2016年~2017年は、未曾有の経済リセッションからの回復途上で、尚且つラヴァ・ジャット問題を発端として政治危機による先行き不透明感上昇などの要因で、一般的にブラジル企業の時価総額は安くで、身売り企業も多かった。
ブラジル・グローバル・多国籍企業研究会(Sobeet)のルイス・アフォンソ・リマ取締役は、過去数年間に亘って中国企業は、ブラジル国内でインフラ並びに電力エネルギー、輸送関連プロジェクトでM&Aを積極的に進めており、連邦政府が積極的に進めている民営化並びにコンセッション入札と合致している。
またカナダ並びにノルウエー資本も電力エネルギーや天然ガス・石油分野でのM&Aを積極的に進めており、カナダ資本ペーパー・エクセレンス社は、昨年9月にブラジルの食肉加工会社JBSグループ傘下の製紙会社エルドラド・ブラジル・セルロースを150億レアル(48億ドル)で買収して、南米進出に橋頭堡を築いている。
ノルウエー資本Statoil社は、2017年に1日当たりの原油生産が6万バレルに達するプレソルト原油開発のロンカドール油田の権益を29億ドルでペトロブラス石油公社から買収している。
2016年の米国のブラジル国内での69件のM&A成立で投資総額は60億1,000万ドル、2017年は44件で39億1,000万ドル、特にサービス業部門並びに製造業部門への投資が目立っている。(2018年4月9日付けヴァロール紙)