今年はブラジル製造業部門を牽引するサンパウロ州やリオ州以外に本社を置くブラジル企業の新規株式公開(IPO)を準備している企業が目白押しで、特に大統領選挙戦に左右されない今年上半期の数多いIPOが見込まれている。
北東部地域や北部地域が主戦場の健康保険プランを事業の柱とするHapvida社、南大河州の建材販売 Quero-Quero 社、リオ州に本社を構えるがローライマ州都ボア・ヴィスタ市並びにサンパウロ州ソロカバ市でショッピングセンターを運営するHIS/Saphyr 社が新規株式公開を予定している。
ショッピングセンター運営のHIS/Saphyr 社以外にもサンパウロ市内のCidade Jardim ショッピングセンター並びにサンパウロ州サン・ロッケ市のCatarina Fashion Outlet 、アマゾナス州都マナウス市のShopping Ponta Negra などを擁するJHSF Participaçõesは、新規株式公開で8億レアル~10億レアルの資金調達が予想されている。またサンタ・カタリーナ州非本社を置くAlmeida Junior社も2018年内のIPOで負債軽減のための資金調達を見込んでいる。
北東部地域や北部地域での健康保険プランを事業の柱とするHapvida社は、医者のカンジド・ピニェイロ氏がフォルタレーザ市で設立、同社の健康保険プランには380万人が加盟しており、IPOで20億レアル~30億レアルの資金調達を予定している。
2015年に米国資本のプライベート・エクイティBain Capital社に20億レアルで買収され、2017年7月に新規株式公開を予定していた健康保険プラン事業のNotre Dame Intermedica社は、今年上半期の新規株式公開で30億レアルの資金調達を見込んでいる。
またゴイアス州政府の上下水道公社Saneago社は、IPOの準備としてブラジル銀行並びにブラデスコBBI、Citiを主幹事銀行に認定しているが、IPOによる資金はゴイアス州収税局の歳入となる。
今年初めの新規株式公開としてスポート用品販売のCentauro社では、2月末の新規株式公開で7億レアル~8億レアルの資金調達を予定、また玩具販売チェーンを展開するRi Happy社並びに建材販売の Quero-Quero 社は第1四半期のIPOを予定している。
また医薬品メーカーBlau社並びに銀行のBanco Inter社、レンタカーLocadora 社、電力エネルギー業界のNeoenergia社も再度新規株式公開の列に並ぶと予想されている。
今年のIPO公開による資金調達では、銀行金利の低下並びに記録更新中のサンパウロ平均株価(Ibovespa)などの追い風に対して、先週の米国の格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)によるブラジル長期ソブリン格付けの「BB」から「BBマイナス」への格下げ、2月19日に予定されている年金改革法案承認の不透明感増加、10月の地方統一選挙などが混在している。
今年の新規株式公開による資金調達は350億レアルが見込まれているが、昨年のIPOによる資金調達は429億レアルで2009年以降では最高を記録していた。(2018年1月16日付けヴァロール紙)