2年以上に亘るブラジル国内の経済リセッション、ラヴァ・ジャット作戦汚職問題で摘発された大手ゼネコン企業やペトロブラス石油公社のサプライヤー企業などは軒並み時価総額が急落しており、海外投資家にとってはまたとないチャンスで鵜の目鷹の目でM&Aの物件探しを行っている。
しかし海外投資家は、すでにブラジル国内のM&A専門コンサルト会社にインフラ関連部門の物件を中心に買収企業選定を依頼しているにも関わらず、労働改正法や年金・恩給改革法案の国会での承認を確認してから本格的な交渉を予定している。
石油の国際コモディティ価格低迷や連邦警察の特別捜査「ラヴァ・ジャット作戦」汚職疑惑によるペトロブラス石油の相次ぐ元経営陣幹部の逮捕者続出や米国格付け会社による格下げ、株価の大幅下落、ドル高の為替、商業銀行からのクレジット停止などの要因で、ペトロブラスでは自社資産放出による負債軽減が急務となっている。
海外投資家にとっては、ペトロブラス石油公社の資産売却物件以外にもラヴァ・ジャット作戦汚職問題で摘発された大手ゼネコン企業のコア事業以外で負債軽減するためのポートフォリオ物件に注目している。
ペトロブラスは、投資金調達のために傘下の家庭用プロパンガス配給会社Liquigas社をコンペティターのUltraグループ傘下Ultragaz社に25億レアル~30億レアルで譲渡したと予想されている。
しかしLiquigas社の家庭用プロパンガスの国内シェアは22.6%、一方Liquigas社を吸収するUltragaz社のシェアは23.0%と業界トップであるために、日本の公正取引委員会に相当する経済防衛行政審議会(Cade)の承認を得て売買が成立する。またUltraグループはAlesat Combustiveis社も買収している。
今年第1四半期のブラジル国内でのM&A件数は96件が成立、そのうち外資系企業によるM&Aは53件、M&A物件総額は、前年同期比180%増加の626億レアルとTTR社は見込んでいる。
世界経済低迷で収益性の高いM&A案件は減少傾向にあるが、経済成長低迷からの脱出並びに構造改革進展が予想されているブラジル国内のM&A物件の収益性が注目されており、特にインフラ整備部門並びに電力エネルギー、小売業界、教育、保健部門の物件がM&Aの対象になっているとクレディ・スイス銀行投資担当のファビオ・モウラン氏は説明している。
プライベート・エクイティファンドを中心とする海外投資家は、インフラ関連企業に次いで農畜産関連企業や食品関連企業のM&A物件を模索しているとSiqueira e Castro社のギリェルメ・ダンタス共営者は指摘している。(2017年5月3日付けエスタード紙)