今月初めに実業家アビリオ・ジニス氏は、ニューヨークでのインタビューで現在のブラジルの株価は非常に安いために、ブラジル企業の買収時であるとコメントしたように、海外の投資ファンドは時価総額が大幅に減少しているブラジル企業に注目している。
ブラジル経済のリセッションによるブラジル企業の決算の悪化、ラヴァ・ジャット作戦関連汚職問題によるゼネコン大手の資金繰りの悪化、40%以上高騰の今年のレアル通貨に対するドルの為替、停滞するサンパウロ平均株価(Ibovespa)などの要因で、海外投資家にとってはブラジル企業のM&Aにはチャンス到来となっている。
PwCの月間M&A調査によると、今年初め9か月間のM&A成立件数は前年同期比12%減少にしているにも関わらず、海外投資家のM&A成立件数は増加傾向となってきており、9月には50%に達して2002年から統計を取り始めて以来で最高の比率となっている。
最後のブラジル企業に対するM&Aブームは2008年~2010年でその後は低迷していたが、ドル高の為替の影響でブラジル企業の外貨による負債増加、国内消費市場の需要減少による収益悪化がM&A件数増加につながっているとPwCのロジェリオ・ゴロ氏は説明している。
投資銀行Greenhill社の Daniel Wainstein社長は、2010年の同社のM&A件数は35件、そのうち26%の企業は、税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもので総資本に対してどの程度のキャッシュフローを産みだしたかを簡易的に示すEBITDAが3倍以上であった。
今年のM&A対象企業54社のうち55%はEBITDAが3倍以上とブラジル企業の負債比率が増加傾向を示しており、大きな負債を抱えている企業は自社資産放出や資本注入受入を余儀なくされている。
先週、多国籍企業Coty社によるHypermarcas 社化粧品部門を38億レアルでの買収案件の成立、Hypermarcas 社は負債軽減のために継承品部門の放出を余儀なくされた。
メキシコ資本Femsa社は、パラナ州に本社を置くロジスティック事業のAtlas Trasnportesを買収したが、買収金額は11億レアルと予想されている。また北東地域ですでに大学を買収している米国資本のDevry社は、サンパウロ州内のIBIMEC買収で交渉している。
今年初め9か月間の米国資本によるブラジル企業買収は41件で総額285億6,744万レアル、英国は105億6,584万レアル、ドイツは7億4,252万レアル、アルゼンチンは3億4,268万レアル、フランスは2億5,349万レアルとなっている。
2012年の外資系企業によるブラジル企業の買収総額は791億1,000万レアル、2013年は381億1,000万レアル、2014年は671億6,000万レアル、今年初め9か月間ではすでに524億8,000万レアルに達している。
今年の大型M&A案件として、TerraForm Global社が38億9,000万ドルでRenova Energia SAに資本参加、GIC Pte Ltd社は15億ドルでD’Or Sao Luiz、The CarlyleもD’Or Sao Luizに6億9,800万ドルでそれぞれ資本参加している。
またSunEdison Incは Renova社の小型水力発電所並びに風力発電所事業に5億9,500万ドル、 Brookfield Asset Management Incは Ativos Imobiliarios に5億9,500万ドルの資本参加、China Merchents Energy Shippingは ヴァレ社の鉄鉱石運搬船に4億4,800万ドルの投資を行っている。
ドル高の為替や株価の低迷で海外投資家のブラジル企業に対する買収向け投資総額は1,300億ドルに達すると予想されており、PwCでは海外のプライベートエクイティによる企業買収が増加すると予想している。
また現在ブラジル企業の自社資産の売却予定総額は150億ドルに達すると予想、特にラヴァ・ジャット作戦関連汚職問題によるゼネコン大手が窮地に立たされている。
ペトロブラス石油公社は今年から来年にかけてコア事業の石油・天然ガス開発以外の資産放出で151億ドルの資金調達を計画している。(2015年11月8日付けエスタード紙)