先週、米国の格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、ブラジルの長期外貨建てソブリン格付けを「BBBマイナス」から1段階下の「BBプラス」のジャンク級に引き下げた影響で、ブラジル企業にとってクレジット部門縮小並びに金利上昇で資金調達がさらに困難になると見込まれている。
中銀の調査によると、ブラジル民間企業並びに政府系公社の2016年末までに社債の償還期限が迫っているクレジット総額は651億2,000万ドル、そのうち民間企業は548億6,000万ドル、政府系機関は102億6,000万ドルとなっている。
ネルソン・バルボーザ企画予算相は先月末に発表した2016年度連邦予算案では、歳入減の影響で国内総生産(GDP)の0.5%にあたる305億レアルの基礎的財政収支赤字を提示していたが、格付け会社S&Pによるブラジルの長期外貨建てソブリン格付けをジャンク級「BBプラス」に引下げ発表で、財政収支が更に悪化すると予想されている。
ソブリン・リスクが高まると国債の債務不履行(デフォルト)のおそれが強まるだけでなく、国の格付けが低下してその国の資金調達がむずかしくなり、利回りが上昇する場合が多い。
ソブリン・リスクがどれほど高まっているかを示す指標にデフォルトに備える保証コストを表す「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」の長期外貨建てソブリン格付けをジャンク級「BBプラス」に引下げ発表した翌日の保証料率は、386ポイントと今年初めの200ポイントから大幅に上昇している。
今年初め7か月間のブラジル企業や政府系公社による海外市場による資金調達は9件で総額80億6,000万ドルと前年同期の37件で総額372億8,000万ドルを大幅に下回っている。
また今年初め7か月間のブラジル企業や政府系公社による国内市場での資金調達は216件で603億レアルであったが、前年同期の355件で885億レアルから大幅に減少している。
ブラジルの政治経済の短期改善の見通しが殆どなく、企業経営者並びに一般消費者の景況感の悪化、失業率の大幅増加予想などの影響で、今年の投資総額はGDP比17.3%と昨年のGDP比19.7%から大幅に減少するとAustin Rating社では予想している。
格付け会社フィッチ・レーティングスとムーディーズ・インベスターズ・サービスは、未だにブラジル格付けを投資適格級に保持してS&Pの格下げの影響が限定的にとどまる可能性もあるが、連邦政府による財政緊縮政策や増税政策が早急に実施されないと格下げされる可能性が強い。(2015年9月14日付けエスタード紙)