米国の格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、ブラジルの長期外貨建てソブリン格付けを「BBBマイナス」から1段階下の「BBプラス」のジャンク級に引き下げた。
格付け会社S&Pはブラジルの長期外貨建てソブリン格付けをジャンク級「BBプラス」に引き下げたにも関わらず、見通しは「ネガティブ(弱含み)」に据え置いたため追加格下げを避けるために、ジョアキン・レヴィ財務相が率いる経済班は、早急な歳出削減や大幅な増税を実施して早期の財政健全化を迫られている。
大半の金融市場アナリストは、格付け会社S&Pによるジャンク級「BBプラス」への格下げは更なるレアル通貨に対するドル高の為替並びにサンパウロ平均株価(Ibovespa)の大幅引き下げにつながると予想、また中銀は海外投資家のブラジル金融機関からの資金引上げを阻止するために、政策誘導金利(Selic)の継続した引き上げを余儀なくされると予想している。
ルイス・カルロス・メンドンサ・デ・バーロス元通信相は、「企業経営者による連邦政府の無策批判は耐え難いものであり、ジウマ大統領は辞任を余儀なくされる」とコメントしている。
しかし先月末に発表した2016年度連邦予算案では、歳入減の影響で国内総生産(GDP)の0.5%にあたる305億レアルの基礎的財政収支(プライマリーバランス)赤字を提示していたネルソン・バルボーザ企画予算相はS&Pによる格下げは克服できるとコメントしている。
ジョアキン・レヴィ財務相は、「ブラジル経済は早急に立て直す必要があるが、ジャンク級に格下げされたような投資不適格には達していない」とコメントしている。
格付け会社フィッチ・レーティングスとムーディーズ・インベスターズ・サービスは、未だにブラジル格付けを投資適格級に保持しており、S&Pの格下げの影響が限定的にとどまる可能性もあるが、連邦政府による財政緊縮政策や増税政策などが混沌としているために、S&P以外の格付け会社の動向に目が離せない状況となっている。
格付け会社S&Pは2008年にいち早くブラジルを投資適格級の「BBBマイナス」に引き上げたが、今回は他の格付け会社に先駆けて「BBプラス」のジャンク級に引き下げている。
格付け会社S&Pでは今年のブラジルのGDP伸び率をマイナス2.5%、2016年はマイナス0.5%、2007年からブラジルのGDP伸び率はプラスに転じると予想している。
また格付け会社S&Pは、外貨準備高を含まない今年のブラジルの公的負債をGDP比53%と予想、2016年はGDP比59%と大幅に増加すると予想しているが、2014年の公的負債47%からそれぞれ大幅に悪化すると予想している。
ラバ・ジャット作戦で明らかになってきたペトロブラス石油公社関連の汚職問題拡大によるゼネコン大手幹部の取調べや逮捕によるインフラプロジェクトへの影響、ジウマ大統領の支持率は就任後最低を記録、所得税の増税、財政プライマリー収支目標の相次ぐ修正、連立与党幹部の反乱などジウマ大統領の政治手腕に陰りが出ていることも海外投資家による資金引上げに拍車がかかる可能性が否定できない。(2015年9月10日付けエスタード紙)