食品価格と電気料金の値上がりという圧力を受け、政府の公式インフレ率である広範囲消費者物価指数(IPCA)が5月に予想を上回る水準となったことで、市場は、中央銀行が2016年にインフレ目標の中間値である4.5%にIPCAを収斂させることに失敗する可能性があるとの見方を強め始めた。
5月の月間IPCAは、5月としては2008年以降で最大の0.74%を記録した。さらに5月までの過去12か月間の累積インフレ率も8.47%に達し、12か月間の累積インフレ率でも2003年12月以来の高い水準となった。いずれも、10日にブラジル地理統計院(IBGE)が発表した。
5月のIPCAは、最大でも0.68%と予想していた市場の期待を大きく裏切る結果となった。これを受けて先物金利は即座に反応、中銀通貨政策委員会(Copom)が7月に予定する次回の会議で設定する金利の見通しを上方修正した。これまで市場には、Copomが利上げのペースを継続するかどうかで意見が分かれていた。だが、10日の発表を受け、市場は、次回も0.50%の利上げを実施するという見解で一致した格好だ。なお、現在のSelicの利率は、年利13.75%である。
グラデュアル・インヴェスチメントス証券のチーフエコノミスト、アンドレー・ペルフェイト氏は、十分に可能性のあるシナリオとして、今後さらに2度にわたって0.50ポイントの利上げを実施し、その後0.25ポイントに縮小、2015年末を年利14.50%で迎えた上で利下げサイクルに入るのは2016年以降と予想する。
「中央銀行は、急速に利上げする努力を惜しまず、同じように、時期が来れば強力に利下げを進めるだろう」と同氏は言う。同氏の予想では、12か月間の累積IPCAは、2018年8月まで8.7%台で推移する。ペルフェイト氏は、最終的にIPCAが年利8.3%と、政府が定めた6.5%の上限を突破するものと予想している。さらに同氏は、2016年のIPCAを4.9%と予想する。
RCコンスルトーレスのエコノミスト、マルセル・カパロス氏は、政府がインフレ対策を講じるものの、その努力もむなしく2016年にIPCAが6.3%を記録すると予想している。カパロス氏は、ジョアキン・レヴィー財務大臣が進める財政調整策がサービス業に対する需要の縮小を通じて家計消費に影響を与えると考えており、しかも2015年のインフレ率が8.3%(この水準はRCコンスルトーレスの公式予想でもある)に達してその余った勢いが、2016年の中銀に対して物価の上昇圧力という惰性の置き土産をすると予想する。「2016年にインフレがインフレ目標の中間値に収斂していくという中銀のコメントは、実行不可能だ」と同氏は言う。
とりわけIPCAで予想外の状況にあるのは、供給に問題を抱える生鮮食料品の値上がりだ。例えば玉ねぎを見ると、5月は35.99%も値上がりする一方、トマトも21.38%値上がりした。こうした値上がりについて生産者らは、雨続きで病害対策コストが上昇したと主張している。
一方、電気料金は、国内6大都市圏で値上げ、この内4大都市圏では税金の課徴率の引き上げがあり、2.77%値上がりして再び家計を圧迫している。地域によっては、例えばエスピリト・サント州ヴィトーリア大都市圏のように社会統合計画分担金(PIS)/社会保障分担金(Cofins)の課徴率が529.25%上昇するなど、電気料金の値上がりが10%を越えたところもある。(2015年6月11日付けエスタード紙)