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(特別記事)物価高の要因は税金とマージンである 2013/04/04

ブラジル国内の工業製品の価格は、他国と比較して2倍から3倍も割高だ。そこに重くのしかかっているのは、税金と、利益率、外国為替市場におけるドル安レアル高である。工業部門の非効率性、インフラの不安定さ、さらに、高額な給与と結びついた労働者の低い生産性が、付帯的な問題として加わる。ブラジルの工業部門と卸売業者、小売業者は、その他の資本主義国家と異なる方法で金を稼いでいる。単価の利益率を小さくして多くを売る代わりに、大きな利益率を設定して少量を販売するのがブラジルのビジネスなのだ。

ブラジル政府は、高い税率を掛けるのみならず、同じく、他の国々と異なる計算式を用いた課税方式を採用している。もし製品が100レアルの価値を持ち、税率が30%なら、政府は30レアルを徴収するのではない。この税率は100レアルに対して課徴されるのではなく、130レアルに対して課徴されるのだ。この例で言えば、30レアルの代わりに、政府は39レアルを納付させることになる。(※これでは税率が30%としても元値が変わります。計算式は最終価格=1*1/(1-税率)でおよそ143レアルになるはずですが原文のままとしました。143*0.7=100.1レアルですから、本来は最終価格は143レアル、税金は43レアルとすべではないでしょうか)しかも複数の税金は片方が課徴された税込み価格に適用されるので、製品が流通するごとに上昇する。

輸入会社のセルトレーディングはエスタード紙の要請を受けて、3つの製品(携帯電話端末・ジーンズ・玩具)に対する税金を算出した。元値を100レアル、利益率を10%とすると、携帯電話端末は278レアル(178%の上昇)、ジーンズは308レアル(208%の上昇)、玩具は408レアル(308%の上昇)と、いずれも大幅に値上がりする。

トレヴィザン・ビジネス・スクールのアルシーデス・レイテ教授は、エスタード紙のためにiPadとナイキのスニーカー、ラコステのシャツ、カローラの価格について、ブラジルと、ブラジル人が買い出しに行く米国、ブラジルと同水準の工業を持つメキシコ、さらに税負担が重く官僚的な煩雑な手続きで知られるイタリアを対象に調査を行った。それらの価格をレアル建てにすると、いずれの製品もブラジルが最も高額であることが示された。

そこでブラジル税制企画院(IBPT)が、この4製品に対してこれらの4か国が課徴している税金を計算した。その税金を差し引いたとしても、ブラジル国内の価格はずいぶんと高い(図を参照のこと)。

自動車用部品メーカーで組織する全国自動車部品工業組合(Sindipeças)の調査でも、ブラジル国内の自動車メーカーの利益率が国際水準の2倍、米国の3倍以上にもなることが確認された。平均すると、自動車メーカーはブラジル国内で10%、世界的には5%、米国では3%の利益を掛けている。税金も同様に大きい。ブラジルで32%だが世界的には最高で16%、そして米国では6%から9%である。

「それは利益率だ」と、アルシーデス・レイテ氏は指摘する。そして、「市場競争が欠落している」と言う。サンパウロ大学(USP)小売経営企画のアナリスト、クラウジオ・フェリゾーニ氏・アンジェロ氏も、「ブラジルでは企業が独占的立場を利用することと、同様に市場規模の点からも、利益率が極めて大きい」とコメントした。

フェリゾーニ氏は、米国で感謝祭に合わせて行われる伝統的な棚卸しセール「ブラックフライデー」と、ブラジルでもこれに似せて始まった特売を比較した。「米国における割引は相当なものだ。ところがブラジル国内では、割引がないか、時には値上がりしている」と言う。さらにフェリゾーニ氏は、米国では徒歩で移動可能な距離に2店舗、あるいは3店舗と軒を連ね、あらゆる製品がこれらの店舗で販売されていることにも言及。「そこでは市場の圧倒的大原則は国内の競争だが、こちらでは、そうした競争は極めて貧弱だ」と、比較する。「ブラジルでは4,000万人が中産階級へと所得階層の階段を上ってきたが、インターネットで価格を比較するという習慣はまだないのだ」と言う。彼らの基準は、割賦払いの金額が自分の収入に納まるかどうかなのだ。

割賦の弁済期間
アルシーデス・レイテ氏は「小売チェーンは店舗内に事務所を構える金融機関と提携して、割賦販売を提供している」と、指摘する。当然ながら、価格にも、この金融コストが盛り込まれている。だが、一括販売でも割引があるわけではない。というのも、店側はこの割賦販売に対してどれだけの金融コストを盛り込んでいるのか明らかにしたくないのだ。

「ブラジルでは利益率は大きい、と言うのも、販売量が小さいからだ」と、ミゲル・ジョルジェ元開発商工大臣は言う。さらに、「輸入品が割安と見ると、売り主は、国内市場の最終価格近くまで自身のマージンを引き上げるのだ」と話す。

その直近の例は、アップル製品だ。カンピーナス市の工場はIT法による減税措置の適用を受けながら、それでも、輸入販売していた当時と同じ価格を維持している。取材に対してアップルとメーカーのフォックスコンは、この問題に関するコメントは差し控えると回答した。

2010年、自動車業界は国外に41億ドルの配当を送金した。その翌年、この金額は56億ドルという史上最高額に達した。ミゲル・ジョルジェ元大臣は、「投資として残った資金は、この金額から除外されている」と指摘する。2012年には投資が一層拡大し、国外送金額は24億ドルになった。「つまり、それは大きな利益率を意味するのだ」とこの問題を総括。更に続けて、「工業部門は、保護されることに慣れ過ぎて、効率が大きく損なわれている。決して市場競争にさらされなかったのだ。世界のすべての国が、必要な全てのものを生産している訳ではない。我が国は、得手に特化すべきなのだ」。

最も手厚く保護されている業界の1つが、2012年に200億ドルという、業種別に見て大きな貿易収支赤字(輸出から輸入を差し引いた額)を計上している電気電子業界だ。この輸入の内70%がマナウス・フリーゾーン(ZFM)向けなのだが、製造ではなく組立ラインに乗る。その理由は、ZFMは部品とコンポーネントの輸入関税が免除されるため。この輸入関税は過度を通り越していると言ってもよいもので、マナウスから高額の国内輸送コストを掛けたとしても、サンパウロで直接輸入した製品が太刀打ちできないのだ。

この場合、国内産業を振興しようという狙いが、より高くなってしまった価格というものに打ち砕かれてしまっているのは明白だ。しかも、単により高額になったという結果しか残していない。それにこの大きな税収は、歳出をどんどん拡大する政府を支える。フェリゾーニ氏は、「政府は、この問題で重大な当事者であるとともに、非効率性そのものだ」と要約する。加えて、自動車業界を専門とするジョゼー・ロベルト・フェロ氏も、「誰も彼もが、最終消費者に寄ってたかって儲けようとしている。政府も、工業部門も、商業部門もだ」とコメント。続けて、「例え高コストとしても、市場が過熱しているのだから、企業は適切な利益率を設定できるはずだ。ところが価格は、消費者が支払うことを厭わない、という水準に設定されている。大衆車がブラジルで4万レアルもするのは、人々がこの価格を支払うことを容認するからだ」。

「他国では、もし需要が落ち込めば価格競争になる」と、フェロ氏は言う。「ブラジルでは、経済危機の兆候が市場に現れるたびに、政府が一時的に減税を実施し、輸入車から国産車を保護して利益率も価格も無傷でやり過ごさせる。その他の国との真の競争は、そこには存在しないのだ」。同氏は、マージンが下がって初めて生産コストの問題が深刻な問題として受け止められるだろう、と言う。そこでようやく、工業部門は効率を高めるための投資に取り組むことになる。フェロ氏は、「フィアットが欧州で業績を悪化させているし、GMは世界中で苦戦している。ところがブラジルでは、この2社は絶好調だ」と指摘する。

ブラジル国内の自動車メーカーで組織する全国自動車工業会(Anfavea)は、加盟企業の利益率に関するデータは把握されていないことを説明。その上でAnfaveaのアデマール・カンテーロIR担当理事は、「ただし、コスト圧力と市場競争の高まりを受けて、国内の業績は、国際水準とそれほど乖離したものにはなっていない」と言う。同理事はさらに、「この市場競争のために車両価格
は値下がりしており、上昇する生産コストを転化できずにいる」と強調した。2005年から2013年1月にかけて、拡大消費者物価指数(IPCA)によるインフレ率は51.5%を記録、同じ期間に車両価格は、8.2%値下がりした。

市場の保護。シーザ・トレーディングのアントニオ・パルガナ氏は、ブラジルにおける輸入障壁の高さと、利益率の高さに相関関係があると受け止めている。「税金をぶち込むだけでは飽き足らず、税制と分担金の会計基準が理解を困難にしており、それが最終的に価格に響いている」と同氏は言う。「状況がつかめず不確かな時、経営者はより高いマージンで守りに入る」。さらに、とパルガナ氏は言葉を継ぎ、種々の問題により「むしろ不安から、輸入できたはずのものを遠ざけることとなり、結果的に過度に高額な値付けを可能にさせている」と言う。同氏によると、「中小の輸入業者は市場への参入に不安を抱き、参入してからは、大量に輸入するのではなく少量の販売で売上を確保しようとする」。

元フォード社長で自動車研究センター理事のルイス・カルロス・メロ氏は、「政府の税務管理は、不安定な法の運用につながる不可解で意欲的なコミットメントにかまけている」と批判する。同氏は例として、輸入車に対する30パーセントポイントの工業製品税(IPI)の追徴課税について、中国製自動車の「侵略」を想定した対応だと指摘。「国内工業保護という名のもとに、予測の可能性がふっとんでしまう。ある種の緩衝機能を見込める利益率が必要となる」。

元大統領府貿易会議所元事務局長のジョゼー・ボタフォーゴ・ゴンサルヴェス氏は、「日常的な改正は貿易の秩序を乱す。ある製品がある年非課税になる一方で、翌年10%あるいは15%が課税されているものがある」と指摘。

ゼツリオ・バルガス財団(FGV)の租税専門家、フェルナンド・ジルヴェッチ氏は、「税金が問題なのではない」と言う。「この国ではマージンの譲歩は誰もしようとはしない。が本来利益とは、各社の生産性とスケール・メリットによるマージンのコントロールによって確保すべきもののはずだ」。ジルヴェッチ氏は、ブラジルの消費市場が爆発的に拡大したが、製品価格が下落していないと指摘する。「ここで生産するのは得するため、現にあらゆる工場が進出を図っている」と分析。「しかしそれはまさに悪循環で、企業が不満を漏らすと、政府は、消費者のためではなく企業の良いように対応する」。(2013年3月31日付エスタード紙)

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